あなたは王の器じゃありません 文官令嬢、辺境の地でその才を発揮する
 彼らの動揺をどうにかしようとしたらしく、マクシムが慌てて声を張り上げる。罪の重さを強調するかのように、彼は王錫をエルニーナに向けた。
 エルニーナはゆっくりと口角を上げる。突きつけられた王錫が、目に見えていないかのように。

「王の前で不敬ぞ! 騎士達よ、この娘を捕らえろ! そして牢に連れていけ!」

 落ち着き払ったエルニーナの様子に、マクシムは本能的に恐れを覚えたようだった。裏返った声でそう命じるが、動く者はいない。

「王? 誰が王だというのかしら?」

 自分に突きつけられている王笏に対抗しているかのように、エルニーナはそろそろと右手を上げていく。
 そして、人差し指はピンと立て、残る四本の指は折り曲げた。

「あなたは王の器じゃありません」

 天の言葉を代言するかのように、真っすぐに向けられた人差し指の先にいるのは、国王マクシム。

「な、なんてことを言うのだ! ばかげている! 誰か、その娘を捕らえよ!」

 再びマクシムは命じたが、エルニーナは動こうとしなかった。彼女の指先は、マクシムに突きつけられたまま。

(ここに来るまで長かったわ……!)

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