あなたは王の器じゃありません 文官令嬢、辺境の地でその才を発揮する
 判断できるだけの材料を集めたつもりだったけれど、エルニーナの集めた情報に不足があって、判断を鈍らせたのかもしれない。そんな気さえしてくる。

「……どちらに配属でしょうか」
「フロンテレスク辺境伯領だ」
「……そう、ですか」

 口から洩れたのは、諦めの色を帯びた声だった。
 フロンテレスク辺境伯領。現在の国王マクシムの弟ドラヴェンが、辺境伯家に養子として入って受け継いだ領地だ。王都よりかなり北にあり、冬の間は雪に閉ざされる。
 家を建てた先代辺境伯は、先代国王の弟であることから、辺境伯家も王家と同じフロンテレスクの姓を持っている。

(……辺境伯様については、よく知らないのよね)

 幼くして辺境伯家の養子となったドラヴェンは、王都に戻ってくることもめったにない。エルニーナも面識はなく、彼がどんな人なのかを知る機会はなかった。

「二週間後には出立だ。引継ぎを済ませておけ」
「承知しました」

 条件を確認してみれば、辺境伯家では文官の数が足りないことから、王宮から出向という形での配属になるようだ。こんな形で辺境伯領に行った例はない。

(……結局、こうなるのよね)

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