あなたは王の器じゃありません 文官令嬢、辺境の地でその才を発揮する
 ステファノはエルニーナを煙たがっていたらしいことは知っている。エルニーナが仕事をすればするほど、彼の表情は険しいものになっていたから。
 だからって、こんな形で辺境伯領へ出向させるなんて公私混同もいいところだ。
 ティベルになんて言ったらいいのかわからず、まずはソリンのところに向かう。
 思えば、マクシム騎士団に配属になってから、ソリンと昼食を取る機会もめっきり少なくなっていた。

「ソリン、少しいいかしら?」
「どうしたの? 珍しいわね。報告書の提出忘れ? あなたが持ってきたのなら、すぐにやっちゃうわよ」

 エルニーナがソリンの仕事場を訪れたことはほとんどない。黒髪を揺らしながら立ち上がったソリンに向けて、エルニーナはへにゃりとした情けない顔になった。

「ちょっと聞いてくれる?」

 本当は仕事が終わってから話をすべきかもしれないが、ソリンには真っ先に話をしておきたかった。だって、彼女はエルニーナの親友だから。

「いいわ。お昼休憩にする」

 エルニーナの様子がおかしいのにソリンも目ざとく気づいたようで、早めの昼休憩を取ってくれることになった。
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