あなたは王の器じゃありません 文官令嬢、辺境の地でその才を発揮する
 箱を覗き込んだジャイルが教えてくれる。先代の時代のものが、なぜ、一番手前に積まれているのだ。先は長そうだとこの瞬間に気づいてしまった。

「発掘しなかったのですか?」
「魔物の数が多すぎて断念いたしました」

 なるほどとエルニーナはうなずいた。
 いくら有望な鉱山があったとしても、魔物があまりにも多くて採掘に支障が出るようならば意味はない。

(でも、いずれ役立つかもしれないから……)

 ドラヴェンもこの鉱山については知らないようだ。
 魔物の分布が変わっている可能性もあるから、もう一度調査してもいいかもしれない。余力があれば、だけど。

「こちらの箱は、辺境伯様の執務室――いえ、とりあえずお屋敷の中の空き部屋にでも。ジャイルさん、それでいいですよね?」
「よろしゅうございます。では、印をつけますね」

 箱にぺたりと『鉱石見本』と書いた紙を張り付けて、執務室近くの空き部屋に運んでもらう。これは、辺境伯の意見を聞いてからどこに片づけるか決めよう。
 次の箱を開けてみると、蓋を開いた瞬間、カビの臭いが広がった。中に入っていたのは毛布だが、カビだらけで使い物になりそうもない。

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