あなたは王の器じゃありません 文官令嬢、辺境の地でその才を発揮する
「では、左手にある赤い印のついた箱を確認していただけますか? ジャイルさんも、判断に迷うものがありまして」
「わかった」

 ドラヴェンは頷くと、エルニーナの指示した左手の箱に手をかけた。エルニーナは苦労した蓋を軽く持ち上げると、中身に目を落とす。

「これは養父上の私物だな。こんなところにあったとは」

 箱の中身は古い剣だった。一振りだけではなく、何振りか入っている。
 騎士達に渡すものにしては柄に宝石などの飾りもついていて、立派なものだという判断だった。「旦那様、私も見たことがありませんが……」
「ジャイルに言うと、うるさいだろう? 養父上の小遣いで買ったものとか、戦の時に相手方から分捕ってきたものだと思う」
「……うるさいとは」

 ジャイルは額に手を当てて嘆息した。
 今は、国境は静かなものだが、先代の時代には魔物だけではなく隣国ともしばしば戦になっていたそうだ。
 先代辺境伯は、相手方が使っていた剣を勝利の証として持ち帰っていたらしい。
 新しい剣を不用意に買うとジャイルの機嫌が悪くなるからと、ここに隠していたのだとドラヴェンは教えてくれた。

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