あなたは王の器じゃありません 文官令嬢、辺境の地でその才を発揮する
 先ほどの蝋燭と同じ理由だ。歴史的に貴重な品ではなく、ここ十年ほどの間に作られたものだから保存するのは写しで十分だ。
 エルニーナは、書類をより分けていく。早急に写しを作らねばならないもの、後回しにしても問題ないもの。いずれにしても湿っぽいから、作業をするのは一度しっかり乾かしてからだ。

「書記を手配いたしましょう。その者に写しを作らせます」
「心配ですから、口を布で覆ってくださいね」
「そのように手配いたします」

 その他にも、同じような品が何度も出てきた。毛布の箱は二度。蝋燭の箱は三度。

(……たぶん、前に買ったものがここにあるのを忘れて、また買い足したのね)

 先代の辺境伯は大雑把だったとは聞いていたが、大雑把にもほどがある。

「蝋燭はすべて処分しますね」
「だが、魔石ランプが使えなくなることもある。その時には、蝋燭が必要だ」

 ジャイルは納得してくれたのに、ドラヴェンはエルニーナの言い分には納得できていないようだ。

「辺境伯様、最後に蝋燭を使ったのはいつでしょう?」
「……十年以上前、だ」
「それ以降は?」
「魔石ランプで足りている」
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