あなたは王の器じゃありません 文官令嬢、辺境の地でその才を発揮する
 ちょうど、『あの人とかあの人とかあの人とか』のうちひとりとして、彼のことを思い浮かべていたところだった。
 人前で話すのが得意ではない彼を外交部署に回したのは、言うまでもなくステファノの判断である。商家の息子だし、人当たりがいいから外交に向いているだろうというのが彼の判断だった。

「どうしてここに?」
「身体を動かす仕事があるなら、そちらの方が向いていると思ったんですよ。エルニーナさんも、辺境伯領に異動になったと聞いたし」

 セヴェロの声は落ち着いていた。ここまで旅をしてきた疲れもまったく残っていないようだ。

「外交部のお仕事はどうなったんですか?」
「……辺境伯領に行くよう辞令が出ました。もともと、いなくてもかまわないと言われていたのも事実だし」

 いなくてもかまわない。その言葉の裏側に、王宮での扱いの悪さがにじんでいた。
 商人の家系とはいえ、セヴェロ本人はあまり口が回るタイプではなかった。それで、家の仕事は継がずに、役人を目指したのである。その判断を台無しにしたのがステファノだ。でも、エルニーナにとっては天からの助けのように思えた。

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