あなたは王の器じゃありません 文官令嬢、辺境の地でその才を発揮する
 業務上の改善案などを提案してみても、聞き入れてもらえないのには、そういった事情があった。

「でも、でもよ? エルニーナが人をよく見てるって、どうしてあの人達はわからないのよ? 身体が大きいからって、料理人志望者を騎士団に所属させるってどういうつもりなのかしら」

 叫ぶのと同時に、ソリンはがばっと起き上がった。黒い髪を顎のラインできっちりと切りそろえた彼女は、実に有能な女性だ。
 担当している書類の中で、矛盾点、不明な点、修正した方がいい点を見つけるのは、彼女はとても上手なのに。おまけに、さらにいい業務の案を提案できるだけの能力もある。
 だが、高位貴族達かつ年齢の高い男性で占められている上役達の間では、あまりソリンの能力は評価されていない。

「エルニーナだってそう思うでしょう?」
「そうねえ……一応、騎士団の調理場で働いた方がいいのではないかって騎士団に回す書類にメモはつけておいたけど」

 今日採用が決定したのは、王宮の料理人になりたいという青年だった。
 貴族の経営するレストランで厨房係として働き、王宮の料理人試験を受けられるだけの実績を重ねたそうだ。
< 7 / 272 >

この作品をシェア

pagetop