あなたは王の器じゃありません 文官令嬢、辺境の地でその才を発揮する
 淡々とそう言った彼女に、ドラヴェンは右手を差し出した。彼女の手は小さくて、剣だこなんて当然なくて、だが、剣を握る者と同じように力強かった。
 ドラヴェンは、机の上の書類にもう一度目を落とした。
 補給計画の最後のページに、エルニーナの字でこう付け足されていた。
『上記の計画は、現在の在庫状況と消費傾向に基づく提案です。辺境伯様のご判断で、変更すべき点がございましたらご指示ください』

 辺境伯としてまだ二年目のドラヴェンにとって、頼れる文官が来てくれたのはありがたかった。養父の頃から仕えてくれている者達はいるが、彼らは騎士であって実務の専門家ではない。
 別館に設けた役所にいる役人達は、辺境伯家のというよりは、領民のための仕事をしている。
 ジャイルは優秀な執事だが、物資の管理までは手が回らない。
 エルニーナの進言を受け入れてセヴェロには倉庫を任せたが、彼女の提案を受け入れてよかった。
 おかげで、物資の管理については大きな変化が期待できそうだ。これからは、今まで手が回っていなかった部分にもどんどん取り組んでいけそうだ。


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