あなたは王の器じゃありません 文官令嬢、辺境の地でその才を発揮する
 セヴェロの管理する倉庫で、盗難が発生した。しかも、辺境伯領の物資だ。
 セヴェロの表情が険しくなるのも当然だった。

「食料は、どうですか」
「干し肉とか瓶詰なんかの魔物討伐の時に持っていくものは足りなくなってる。辺境伯家の倉庫はジャイルさんと確認してきたけど、そっちは合ってた」

 エルニーナは、一覧表をじっと見つめた。
 辺境伯家で使う品々を保管している倉庫では何も紛失していない。ずれているのは、戦闘用の物資だけ。

(……泥棒が入ったのは確実として、目的は何?)

 普通の泥棒ならば、まずはわかりやすく換金できそうなものを狙うはずだ。
 空腹に耐えかねて盗みを働くほど貧しい者ならば、鍵のかかった倉庫ではなく、もう少し楽に入れる厨房から持っていくのではないだろうか。

「セヴェロさん、このことはまだ誰にも言わないでください。辺境伯様にすぐに報告します」
「……わかった」
「鍵の貸出記録を確認したら、誰が倉庫に入ったのかはわかりますね」
「うん」

 倉庫には大切な物資が保管されているから、厳重に鍵がかけられている。
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