あなたは王の器じゃありません 文官令嬢、辺境の地でその才を発揮する
 倉庫は厳重に管理されているし、自然発生的に火が起こるはずもない。
 だとしたら、誰かが火をつけたという結論になってしまうけれど……。
 火を消し止められた時には、倉庫の中にあった物資の大半は焼けてしまっていた。残っていたものも、水に濡れたり煤にまみれたりで再利用できそうもない。

「……火元は?」
「倉庫の中だ……火の回り方からすると、たぶんあのあたりが火元だな」
「なんでだよ、ここに火の発生源になるようなものなんてないだろ?」

 まだ中には入れないが、扉から倉庫の中を見た騎士達が話し合っている。

「……どうして、こんな」

 倉庫の惨状に、セヴェロはがっくりとうなだれた。

(……本当に、こんなことが起こるなんて)

 エルニーナは、唇を引き結んだ。
 倉庫の備品が失われた。改めて集めるにしても時間がかかる。
 そうしている間に、魔物が大々的に出没するようなことがあったなら。
 準備もできていない騎士を送り出すわけにはいかないから、討伐準備には時間がかかってしまう。出動が遅れれば、それだけ被害が広がっていくことになる。

(……お屋敷の中に、協力者がいるってこと?)

< 84 / 272 >

この作品をシェア

pagetop