あなたは王の器じゃありません 文官令嬢、辺境の地でその才を発揮する
 誰が、誰に協力しているのか――ゲオルグが怪しいとは思っているけれど、屋敷の中に犯人がいなければ、こんなことにはならないだろう。

(……もう少し調べれば、何かわかったかもしれないのに)

 エルニーナは唇を噛んだ。
 これから、目撃者捜しなどをして、ゲオルグが犯人だという証言や証拠を見つける予定だったのだ。
 でも、こうも早く敵が先に動いた――負けを認めるしかないのかもしれない。


 辺境伯家で火事が起こったという話は、あっという間に地域住民の間に広がったようだ。
 翌朝、いつもの通り納品にやってきたゲオルグは、心配そうな顔をしていた。いつもより多めに物資を運んできたのは、こちらが買い上げると見越してのものだろう。

「昨夜、大変なことが起きたそうで……お役に立てれば、よろしいのですが」

 にこやかに笑うゲオルグの顔を、エルニーナは黙って見つめた。昨夜の火事にも彼が関係しているのではないだろうか。
 何食わぬ顔で、商品を売りつけるつもりなのだろう。

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