あなたは王の器じゃありません 文官令嬢、辺境の地でその才を発揮する
 急に呼び出しされたというのに、恐れを見せる様子もない。先日の火事のあと、大量に彼の商会に発注したから油断してもいるのだろう。どうせ、補充はしなければならなかったから、集めてきた品は有効活用させてもらう。

「かけてくれ」
「ありがとうございます、辺境伯様」

 ゲオルグが腰を下ろしたのを確認してから、ドラヴェンは机の上に一枚の紙を置いた。
 三年前の請求書と、辺境伯家の支出記録の照合表だ。

「ゲオルグ、単刀直入に聞く。この数字の差は何だ」

 ゲオルグの目が、紙の上を走った。一瞬、その表情が固まったのをドラヴェンは見逃さなかった。
 だが、ゲオルグはすぐに笑顔を取り戻した。

「辺境伯様、これは古い記録ですな。先代様の頃のことでございますから、何かの行き違いでは」
「行き違いが三年分、すべて同じようにずれていると主張したいのか?」

 ドラヴェンは、二枚目の紙を重ねた。セヴェロの台帳から作った照合表だ。直近ひと月の在庫のずれが、日付と品目と共に並んでいる。

「これは先代の頃ではない。先月の記録だ」

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