あなたは王の器じゃありません 文官令嬢、辺境の地でその才を発揮する
 ゲオルグの笑みが、わずかに揺らいだが、まだ笑みをたたえたまま。表情を崩すことはない。

「辺境伯様、在庫の数え間違いということもございましょう。新しくいらした文官の方々は、まだこちらの事情に不慣れでいらっしゃるでしょうし」
「ずれているのは戦闘用の物資だけだ。俺達が、魔物討伐に行けないようにしたかったのか?」

 ドラヴェンの声は静かだった。怒鳴る必要はない。事実を並べるだけでいい。エルニーナ達がそうしてきたように。

「それと、もう一つ。倉庫を燃やしたのもお前だ。正確には、お前と示し合わせた者だがな。そいつは、もうすべてを白状したぞ。記録が燃えたと思って安心していたようだが、写しは三部作ってある」

 そう告げるドラヴェンの声は、すっかり冷えきっていた。
 ゲオルグの顔から血の気が引いた。記録が燃やされたことを知っているのは、ごく限られた人間だけだ。

「言い逃れができると思っていたか?」

 ゲオルグは、椅子の上で身体を固くしていたが視線はきょろきょろと左右に動いていた。逃げ道を探しているのだろうが、もう遅い。

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