約束の続きをもう一度~再会した御曹司の彼は、娘ごと私を甘やかして離しません~
プロローグ
和葉(かずは)、俺が海外研修から戻ったら――結婚しないか?」
「え……?」

 突然の言葉に瀬戸(せと) 和葉は目を見開いた。

「俺はお前が好きだ。誰よりも愛している」
「でも……(みなと)さんのお父様は、私たちの交際を認めていないんじゃ……」

 不安そうに呟く和葉に湊は力強く頷くと、

「今はな。だが必ず成果を出して認めさせる」

 そして少しだけ表情を和らげた。

「……例え認められなくても構わない。俺はお前と生きていきたい。その為なら鳴海(なるみ)の姓だって捨てる覚悟だ」
「湊さん……」
「俺の未来には、お前が必要なんだ」

 そう言うと湊はベッド脇のチェストから小さな箱を取り出して蓋を開ける。

 箱の中には繊細な輝きを放つ指輪がしまってあった。

「研修を終えて帰って来たら、その時は結婚指輪を選びに行こう。それまでこれを着けて待っていて欲しい」

 湊の真っ直ぐな言葉に和葉の瞳から涙が零れ落ち、震える声で頷いた。

「……はい」

 その返事を聞いた湊は安堵したように微笑むと和葉の左手薬指へ指輪をそっと滑らせた。

 この時はこれから先もずっと二人で歩いていけるのだと信じていた。

 愛する人と未来を誓い合い、心も身体も結ばれ、二人にとって人生で最も幸せな時間だった。

 ――けれど一年後、海外研修を終えて帰国した湊を待っていたのは一通の手紙だけ。

《今までありがとうございました。さようなら》

 たったそれだけが記されていた。

「……どうしてだ……どうして俺の前からいなくなった……?」

 悲しみに暮れる湊はすぐに和葉の行方を捜した。

 何日も、何週間も、何ヶ月も掛けて必死に捜したけれど、手掛かりすら掴めない。

 何かがおかしい、そう感じながらも答えは得られないまま、湊は突如病に倒れた父の後を継ぎ、若くして社長に就任することになった。

 仕事に追われる日々の中でも和葉を忘れたことなど一度もない。

 そして気付けば四年という歳月が流れていたのだが、この時の湊は知る由もなかった。

 突然姿を消した和葉が自分によく似た面影を持つ、幼い女の子を育てていることを――。
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