約束の続きをもう一度~再会した御曹司の彼は、娘ごと私を甘やかして離しません~
「ごめんなさい湊さん」

 申し訳なさそうに頭を下げる和葉に湊は苦笑しながら首を横に振る。

「いや、むしろ俺の方が早く来過ぎてごめん」
「ううん、そんなことないわ。その、もう少しだけ待ってて」
「うん、ゆっくりでいいよ」

 まだ支度が残っていた和葉は湊に詩音を託すと寝室へ入って準備を再開した。

 その間、湊はリビングで詩音の遊び相手をしながら待つことに。

「おにーちゃん、ゆうえんち、なにのる?」

 詩音は嬉しそうに湊の膝の上に座ると、和葉がプリントアウトしてくれていた園内マップをテーブルに広げながら、どのアトラクションに乗るかを問いかけていく。

 寝室で着替えとメイクをしていた和葉は、詩音の楽しそうな声を聞きながら自然と頬を緩めた。

 身支度を終えた和葉は鏡台の上に置かれたアクセサリーケースへ視線を向け、蓋を開けると中には先日湊から贈られたネックレスが輝いていた。

(……せっかくだし、つけていこう)

 そっとネックレスを手に取ると、鏡の前でネックレスをつけていく。

「よし」

 小さく頷いて寝室の扉を開けると、リビングで待っていた二人が一斉にこちらを振り向いた。

「ごめんなさい、お待たせ」

 湊はその姿を目にした瞬間、一瞬だけ言葉を失う。

「それ……」

 視線の先がネックレスに向いていることに気づき、和葉は少し照れたように首元へ触れた。

「似合う、かな?」
「ああ。すごく似合ってる」

 迷いのない言葉に和葉はほっとしたように微笑み返す。

 そんな二人を見ていた詩音は満面の笑みで声を弾ませた。

「ママ、きょうすごくかわいいね!」
「そ、そうかな? いつもと変わらないと思うけど……」

 照れ隠しのように笑う和葉だったけれど詩音は更に言葉を続けた。

「いつもかわいいけど、きょうはすごくかわいい! おにーちゃんがいるから?」

 そんな思いも寄らない一言に和葉の頬がみるみる赤く染まる。

「そ、そういうわけじゃ……ないけど……」

 返答に困る和葉を前に湊は、

「きっと俺や詩音ちゃんと出かけるから、張り切ってお洒落してくれたんだよ。嬉しいね」

 そう言って詩音を見ると詩音は大きく頷く。

「うん!」

 和やかな空気に包まれたところで湊が立ち上がった。

「さてと、そろそろ行こうか?」
「う、うん」

 玄関へ向かう途中、和葉が大きめのバッグを持ち上げようとすると湊は自然な動作でそれを受け取った。

「あ、ありがとう」
「結構重いけど、何が入ってるの?」

 何気ない問いかけに和葉は少し照れながら答える。

「あ、その……お弁当、作ったの」

 その一言を聞いた湊の表情がぱっと明るくなった。

「そっか」

 そして嬉しさを隠しきれずに笑顔を浮かべると、

「嬉しいよ。また和葉の手料理が食べられるの」

 その言葉に和葉も自然と笑みを浮かべ、穏やかな空気に包まれたまま三人は部屋を後にした。
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