約束の続きをもう一度~再会した御曹司の彼は、娘ごと私を甘やかして離しません~
「いいだろ?」
低く真っ直ぐな声に和葉は困ったように視線を伏せた。
「……駄目だよ、そんなの」
「どうしてだよ? 俺はあの日からずっと、お前のことを捜してたんだぞ。そもそも、どうしていなくなったりしたんだ?」
責めるというよりも納得出来ないという気持ちが滲んでいて、和葉は胸の奥が痛むのを感じながら小さく答えた。
「……あんな風にいなくなったことは、申し訳ないと思ってる。でも、湊さんと私じゃ住む世界が違うから……」
「そんなの関係ない」
即座に返された言葉に和葉は首を横に振った。
「関係ある――」
言いかけたところで、廊下を通る人たちが二人をちらちらと見ていることに気づき、和葉は小さくため息をついた。
「……とりあえず、ここじゃあれだから。入って」
そう言って扉を開けると湊は少し躊躇いながらも部屋へ足を踏み入れた、その直後、
「ママー、ケーキ食べたい!」
元気な声を上げながら、一旦奥に戻っていた詩音が駆け寄ってくる。
「詩音、ケーキ食べたいじゃなくて、まずはありがとうって言わなきゃ。ほら、お兄ちゃんにありがとうって言って」
「おにーちゃん、ありがと!」
詩音はにっこり笑うと無邪気に湊の手を掴んだ。
「おにーちゃんも、いっしょにたべよ!」
「あ、詩音、お兄ちゃんは――」
和葉が止める間もなく、詩音はぐいぐいと湊をテーブルの方へ引っ張っていく。
「おにーちゃん、ここどーぞ!」
そして、椅子を指差しながら得意げに言う詩音を前に湊は困ったように眉を下げた。
「いや、けど……」
流石に長居するわけにはいかない、そう思って遠慮しようとした湊に和葉は静かに声を掛けた。
「……ケーキ、一緒に食べよう。その方が詩音も喜ぶから」
詩音は期待に満ちた瞳で二人を見上げていて、その様子に押されるように湊は小さく笑った。
「……分かった」
湊の返事に詩音は、「やったー!」と両手を上げて喜んだ。
和葉と詩音がベッドの上に並んで腰を下ろし、湊はテーブルの前に座る。
ケーキの箱を開けると、中には色鮮やかなフルーツで飾られた小ぶりのホールケーキが入っていて、チョコレートのプレートには、【しおんちゃん、お誕生日おめでとう】と、可愛らしい文字で書かれている。
「おいしそー!」
詩音は瞳を輝かせながら身を乗り出し、その反応に思わず頬を緩めながら和葉はケーキに添えられていたプラスチック製のナイフを手に取って三人分に切り分けると、もしもの為にと持参していた紙皿を鞄から取り出し、それぞれの皿へ丁寧に取り分けていった。
狭い部屋の中に、甘いケーキの香りと詩音の楽しそうな笑い声が広がっていき、つい先程まで重かった空気は少しだけ和らいでいた。
低く真っ直ぐな声に和葉は困ったように視線を伏せた。
「……駄目だよ、そんなの」
「どうしてだよ? 俺はあの日からずっと、お前のことを捜してたんだぞ。そもそも、どうしていなくなったりしたんだ?」
責めるというよりも納得出来ないという気持ちが滲んでいて、和葉は胸の奥が痛むのを感じながら小さく答えた。
「……あんな風にいなくなったことは、申し訳ないと思ってる。でも、湊さんと私じゃ住む世界が違うから……」
「そんなの関係ない」
即座に返された言葉に和葉は首を横に振った。
「関係ある――」
言いかけたところで、廊下を通る人たちが二人をちらちらと見ていることに気づき、和葉は小さくため息をついた。
「……とりあえず、ここじゃあれだから。入って」
そう言って扉を開けると湊は少し躊躇いながらも部屋へ足を踏み入れた、その直後、
「ママー、ケーキ食べたい!」
元気な声を上げながら、一旦奥に戻っていた詩音が駆け寄ってくる。
「詩音、ケーキ食べたいじゃなくて、まずはありがとうって言わなきゃ。ほら、お兄ちゃんにありがとうって言って」
「おにーちゃん、ありがと!」
詩音はにっこり笑うと無邪気に湊の手を掴んだ。
「おにーちゃんも、いっしょにたべよ!」
「あ、詩音、お兄ちゃんは――」
和葉が止める間もなく、詩音はぐいぐいと湊をテーブルの方へ引っ張っていく。
「おにーちゃん、ここどーぞ!」
そして、椅子を指差しながら得意げに言う詩音を前に湊は困ったように眉を下げた。
「いや、けど……」
流石に長居するわけにはいかない、そう思って遠慮しようとした湊に和葉は静かに声を掛けた。
「……ケーキ、一緒に食べよう。その方が詩音も喜ぶから」
詩音は期待に満ちた瞳で二人を見上げていて、その様子に押されるように湊は小さく笑った。
「……分かった」
湊の返事に詩音は、「やったー!」と両手を上げて喜んだ。
和葉と詩音がベッドの上に並んで腰を下ろし、湊はテーブルの前に座る。
ケーキの箱を開けると、中には色鮮やかなフルーツで飾られた小ぶりのホールケーキが入っていて、チョコレートのプレートには、【しおんちゃん、お誕生日おめでとう】と、可愛らしい文字で書かれている。
「おいしそー!」
詩音は瞳を輝かせながら身を乗り出し、その反応に思わず頬を緩めながら和葉はケーキに添えられていたプラスチック製のナイフを手に取って三人分に切り分けると、もしもの為にと持参していた紙皿を鞄から取り出し、それぞれの皿へ丁寧に取り分けていった。
狭い部屋の中に、甘いケーキの香りと詩音の楽しそうな笑い声が広がっていき、つい先程まで重かった空気は少しだけ和らいでいた。