約束の続きをもう一度~再会した御曹司の彼は、娘ごと私を甘やかして離しません~
「それじゃあねぇ、しおん、おさかなさんがいっぱいのところがいい! イルカさんとかペンギンさんとか見たい!」

 行きたい場所を尋ねられた詩音は悩んだ末にそうに答えた。

「水族館か。それなら少し行ったところにあるからちょうどいいな。それじゃあ朝ごはんを食べに行ってから準備しようか」
「うん!」

 詩音の行きたい場所が決まると、三人はラウンジのビュッフェ会場へ向かった。

「ごはん、なにあるの?」
「何でもあるよ。パンでもご飯でも好きなの食べような」
「うん! あまいのもある?」
「あるよ」
「わーい!」

 朝食の間も湊は終始詩音のことを気にかけ、事ある毎に世話していた。

 詩音が食べたいものを取ってやったり、飲み物を用意してやったりと面倒を見てくれている。

 そのおかげで和葉は自分の食事をゆっくり楽しむことができた。

 食事を終えたところで和葉は申し訳なさそうに湊を見る。

「ごめんなさい。詩音のこと、湊さんに任せきりで……」
「構わないさ。俺としては詩音ちゃんにもっと好かれたいからな」
「湊さん……」
「ねぇねぇ、おにーちゃん。ジュース取りに行きたい!」

 大人しくご飯を食べていた詩音が声を上げると、和葉はすぐに立ち上がろうとした。

「あ、それなら私が――」
「いいから、和葉はゆっくり食事してて。詩音ちゃん、行こうか」
「うん!」

 そんな和葉を制した湊は詩音の手を取ると一緒に飲み物を取りに向かった。

 こうして朝食を終えた三人は部屋へ戻り、身支度を整えることに。

 帰り支度を進めていると、詩音が寂しそうに口を尖らせる。

「かえるの、やだなぁ……。しおん、このおひめさまのおへやにすみたーい!」
「無茶なこと言わないの。ほら、髪の毛結ぶからおいで」
「はーい」

 和葉は詩音を宥めながら、昨日湊に買ってもらったワンピースに似合う髪型を考える。

 少しでも詩音の気を逸らせればと、詩音の要望を聞きながら髪を丁寧にまとめていく。

 詩音の髪を可愛らしいお団子に結い、そこへリボンを付け終えると、

「みてー! おにーちゃん、しおん、かわいい?」

 詩音は嬉しそうに湊の前へ駆け寄ると、自分の姿を見せる。

 湊はそんな詩音の姿を見つめると、ふっと表情を緩ませた。

「ああ。すごく可愛いよ」
「ほんと!?」
「本当に」
「やったぁ!」

 湊に褒めてもらえたことがよほど嬉しかったのだろう。

 詩音は満面の笑みを浮かべながら、その場で嬉しそうに跳ねる。

 そんな詩音の姿を見つめながら和葉もまた自然と笑みをこぼすのだった。
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