約束の続きをもう一度~再会した御曹司の彼は、娘ごと私を甘やかして離しません~
 ホテルを出た三人は、車で水族館へ向かった。

 ここから高速道路を使って三十分ほどの距離だったため、詩音も退屈することなく大人しく後部座席に座っている。

 やがて目的地が近づき水族館の建物が見えてくると、入り口に飾られた大きなペンギンのオブジェを見つけた詩音がパッと瞳を輝かせた。

「わぁー! おおきなペンギンさんだー!」

 嬉しそうな声を上げる詩音に湊も和葉も思わず笑みを浮かべていた。

 駐車場に車を停め、和葉は詩音と共に先に車を降りる。

 そして和葉が持っていく荷物の確認をしている横に詩音は立っていたのだけど、周りに居る水族館へ向かう子供たちが走っていくのをみた詩音は嬉しさのあまり、自分も入り口へ向かって駆け出そうとする。

「あ、詩音――」

 それに気付いた和葉が慌てて呼び止めようとした、その時だった。

「詩音ちゃん」

 少し遅れて車から降りた湊が詩音の身体をひょいっと抱き上げて動きを止めた。

 突然抱き上げられた詩音はきょとんとした顔で湊を見つめる。

「駐車場は車が通るところだから走ったら危ないんだ。俺やママとちゃんと手を繋ごうな」

 湊は詩音と目線を合わせて優しく言い聞かせていく。

「約束出来るか?」
「……うん。わかった」

 湊の言葉を聞いた詩音が素直に頷くと、

「偉いな」

 湊が詩音の頭を撫でた。

 その様子を見ていた和葉は、湊が詩音のことを大切にしてくれていることが何よりも嬉しかった。

 その後約束通り詩音は湊や和葉の手を握る。

 両側から手を繋いでもらった詩音は待ちきれない様子で足取りも軽く、二人の間をウキウキしながら歩いて行く。

 水族館の入り口が近づくと湊が足を止める。

「チケット買ってくるよ」
「あ、お金……」

 和葉が財布を出そうとすると湊は小さく首を振った。

「いいから。待ってて」
「でも……」
「言ったろ? 金のことは気にするなって」

 そう言って笑った湊はそのままチケット売り場へ向かって行き、残された二人は入り口付近で彼を待つ。

 暫くするとチケットを手にした湊が戻ってきた。

「お待たせ。行こうか」
「うん!」

 元気よく返事をした詩音に湊は笑みを返すとそのまま詩音を抱き上げた。

「わぁ!」

 詩音は嬉しそうに湊の腕の中で笑う。

 そんな二人を見ていた和葉に湊が手を差し出した。

「湊、さん……?」

 戸惑う和葉に湊は穏やかに笑いかける。

「今日は記念日のデートだろ? 行くぞ」
「……うん」

 和葉は一瞬だけ戸惑ったもののそっとその手を握り返し、三人は館内へと足を踏み入れていった。
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