約束の続きをもう一度~再会した御曹司の彼は、娘ごと私を甘やかして離しません~
 館内放送が流れてから少しして、スタッフから、「お子さんが見つかりました」と告げられた湊と和葉は案内された場所へ急ぐ。

 そこにはスタッフに付き添われた詩音の姿があった。

「ママ……おにーちゃん……」

 二人の姿を見つけた瞬間、詩音の顔がくしゃりと歪み、

「うわぁーん!」

 次の瞬間には大声を上げて泣きながら二人の元へ駆けてきた。

「ごめんね……ママがちゃんと見てなかったせいで不安にさせちゃって……」

 和葉は駆け寄ってきた詩音を抱きしめると何度もその背中を撫でる。

「うっ……ひっく……ごめ、っ……なさっ、い……」

 詩音もしゃくり上げながら和葉の服をぎゅっと握った。

「ううん、謝らなくていいの。無事でいてくれて本当に良かった……」

 泣きながら謝り合う二人を見つめていた湊は胸に張りつめていたものが少しずつほどけていくのを感じていた。

 二人が少し落ち着いたところでスタッフが湊に声を掛ける。

「娘さんですが、どうやらイルカのぬいぐるみを探していたみたいなんです」
「イルカのぬいぐるみを……?」
「はい。それで、お一人でいる娘さんを不審に思ったお客様が迷子ではないかと届け出てくださったんです」
「そうだったんですね……。お手数をお掛けしました。本当にありがとうございます」

 話を聞いた湊は深々と頭を下げた。

「いえ。無事に見つかって良かったです」

 それから湊は和葉と詩音を連れて水族館を後にした。

 外へ出る頃には詩音も泣き疲れていたようで、車に乗り込むとすぐに眠ってしまう。

 その小さな腕には探していたイルカのぬいぐるみがしっかりと抱きしめられていた。

「……眠ったみたい」
「そうだな」

 ぐっすり眠っている詩音を起こさないよう和葉は助手席へ移動すると、湊は静かに車を走らせ始めた。

 暫くして、和葉がぽつりと口を開いた。

「……ありがとう。湊さんのお陰で詩音を見つけることができたわ」
「……いや、俺は大したことしてないよ」
「そんなことない。湊さんが落ち着かせてくれたから探せたのよ。私……駄目な母親よね」

 和葉は膝の上で両手を握りしめる。

「ずっと傍にいたはずなのに詩音が居なくなったことにも気づかないばかりか、あんなに取り乱して……」

 自分を責めるように俯く和葉に湊は、「そんなことない」と伝えると、通りがかった公園の駐車場へ入り車を停める。

「……湊さん?」

 そんな湊の行動を不思議そうに顔を上げた和葉に湊は、

「和葉のせいじゃない、自分を責めるな」

 そう言って和葉の肩をそっと抱くと、そのまま自分の方へ引き寄せる。

「詩音ちゃんも、いけないことだって分かってただろ? 和葉だけのせいじゃないんだから責めなくていい」
「……湊さん……」

 優しく諭されるように言葉を掛けられた和葉は抵抗することなく湊へ身を預けると、湊が居てくれて本当に良かったと感謝の気持ちでいっぱいだった。
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