約束の続きをもう一度~再会した御曹司の彼は、娘ごと私を甘やかして離しません~
買い物を済ませて三人で車へ戻ろうとしていたときだった。
「……あれ? 瀬戸さん?」
ふいに背後から声を掛けられた和葉は足を止めた。
振り返るとそこには四十代くらいの女性が立っていた。
「鈴村さん……どうも……」
和葉が小さく会釈すると、鈴村は彼女の隣にいる湊とその腕に抱かれている詩音へと視線を向けた。
「あら、もしかして、お子さんと……」
そこまで言いかけたところで和葉はわずかに表情を強張らせた。
「あ、そ、そうなんです。あの、急ぐので失礼します」
それ以上の会話を避けるように和葉は湊の背中にそっと手を添えた。
早く行こう――そんな意図が伝わる仕草で、湊はすぐにそれを察して軽く会釈をするだけで余計なことは何も言わなかった。
一方、湊に抱っこされていた詩音は無邪気に鈴村に向かって小さな手を振る。
「バイバイ」
「……バイバイ」
つられるように手を振り返りながら鈴村は去っていく三人の背中をじっと見つめていた。
車に戻ると和葉は申し訳なさそうに湊へ視線を向けた。
「あの人は?」
「同じ職場の人の鈴村さんっていうんだけど……」
和葉は一度言葉を切ってから小さく息を吐いた。
「あの人、噂好きで……」
「噂好き?」
「うん。見聞きしたことをすぐに言いふらすの。私がシングルマザーだってことも知ってるから……湊さんを見て何か思ったと思うわ」
「そうなんだ」
湊が短く返すと、和葉は気まずそうに視線を落とす。
「ごめんなさい……」
「どうして謝るの?」
「湊さんと付き合ってることを隠したいわけじゃないの。でも……職場の人にはあまり知られたくなくて……」
「分かってるし、気にしてないから」
その言葉に和葉が顔を上げると、湊はいつものように落ち着いた表情を浮かべている。
「和葉が嫌なら無理に話す必要もないから、そういうのは気にしなくていい」
「……ありがとう」
「それじゃあ、帰ろうか」
「うん」
湊はエンジンをかけて車を発進させる。
走り出して暫く、車内では詩音の声だけが後部座席から楽しそうに聞こえていて、湊や和葉は声を掛けられたことに頷く程度でアパートに着くまであまり会話は無かった。
「……あれ? 瀬戸さん?」
ふいに背後から声を掛けられた和葉は足を止めた。
振り返るとそこには四十代くらいの女性が立っていた。
「鈴村さん……どうも……」
和葉が小さく会釈すると、鈴村は彼女の隣にいる湊とその腕に抱かれている詩音へと視線を向けた。
「あら、もしかして、お子さんと……」
そこまで言いかけたところで和葉はわずかに表情を強張らせた。
「あ、そ、そうなんです。あの、急ぐので失礼します」
それ以上の会話を避けるように和葉は湊の背中にそっと手を添えた。
早く行こう――そんな意図が伝わる仕草で、湊はすぐにそれを察して軽く会釈をするだけで余計なことは何も言わなかった。
一方、湊に抱っこされていた詩音は無邪気に鈴村に向かって小さな手を振る。
「バイバイ」
「……バイバイ」
つられるように手を振り返りながら鈴村は去っていく三人の背中をじっと見つめていた。
車に戻ると和葉は申し訳なさそうに湊へ視線を向けた。
「あの人は?」
「同じ職場の人の鈴村さんっていうんだけど……」
和葉は一度言葉を切ってから小さく息を吐いた。
「あの人、噂好きで……」
「噂好き?」
「うん。見聞きしたことをすぐに言いふらすの。私がシングルマザーだってことも知ってるから……湊さんを見て何か思ったと思うわ」
「そうなんだ」
湊が短く返すと、和葉は気まずそうに視線を落とす。
「ごめんなさい……」
「どうして謝るの?」
「湊さんと付き合ってることを隠したいわけじゃないの。でも……職場の人にはあまり知られたくなくて……」
「分かってるし、気にしてないから」
その言葉に和葉が顔を上げると、湊はいつものように落ち着いた表情を浮かべている。
「和葉が嫌なら無理に話す必要もないから、そういうのは気にしなくていい」
「……ありがとう」
「それじゃあ、帰ろうか」
「うん」
湊はエンジンをかけて車を発進させる。
走り出して暫く、車内では詩音の声だけが後部座席から楽しそうに聞こえていて、湊や和葉は声を掛けられたことに頷く程度でアパートに着くまであまり会話は無かった。