約束の続きをもう一度~再会した御曹司の彼は、娘ごと私を甘やかして離しません~
翌朝、朝食ビュッフェの会場へ向かった和葉と詩音は、そこで湊と顔を合わせることに。
「あっ、おにーちゃん!」
湊の姿を見つけるなり詩音が真っ先に駆け寄っていく。
湊は少し驚いたように目を瞬かせた後、ふっと表情を和らげた。
「おはよう」
「おはよう……」
和葉がぎこちなく挨拶を交わしたその時、詩音が湊の手を引っ張った。
「ねぇねぇ、おにーちゃんもいっしょにたべよ!」
「え?」
「いーでしょ? おにーちゃんもいっしょがいい!」
期待に満ちた瞳で見上げられ、湊は困ったように笑いながら、
「俺は構わないけど……」
湊の視線が和葉へ向く。
「…………っ」
気まずさはあるものの断る理由が見つからず、和葉は小さく頷いた。
「それじゃあ、一緒に食べよう」
「わーい!」
こうして三人は同じテーブルを囲むことになった。
席へ案内されると、湊は率先して詩音の世話を焼いた。
共に料理や飲み物を取りに行ったり、食べている間も口元を汚せばさりげなく紙ナプキンで拭ったり。
「これおいしー! おにーちゃんのそれ、ちょっとたべたい!」
「詩音、食べたいなら後で取りに行けばいいんだから人の物を欲しがらないの」
「いいよ、詩音ちゃん、はい」
「あーん」
湊の食べている物が気になって強請ると食べさせてもらったり、詩音はすっかり懐いていて終始ご機嫌だ。
そんな二人の様子を見ながら和葉は複雑な気持ちになっていた。
(優しいところは変わらない、子供相手でも……)
微笑ましい光景のはずなのに、胸の奥が少しだけ苦しくなる。
(もし――)
そんな考えが頭を過ぎった和葉は慌ててそれを打ち消した。
(何考えてるのよ……もしもの話なんて、意味は無いんだから……)
考えても仕方のないことだと自己完結した和葉は時折話し掛けてくる詩音に笑顔で相槌を打ち、三人での時間を過ごしていった。
それから朝食を終え、共にエレベーターに乗って部屋の前までやって来る。
「それじゃあね――」
和葉が挨拶をして部屋へ入ろうとするところへ湊は、「今日帰るのか?」と問い掛けた。
「うん」
「車で来てるの?」
「ううん。電車」
和葉がそう答えると湊は少し考えるように視線を落とした後で言った。
「それじゃあ駅まで送るよ」
「え?」
思わぬ申し出に和葉は目を丸くして、
「そんな、悪いから」
慌てて断ったものの、湊は首を横に振った。
「悪くない」
「でも……」
「俺がしたいんだ……させて欲しい」
真っ直ぐな眼差しが向けられた和葉は返す言葉を失い、折れるしかなかった。
「……じゃあ、お言葉に甘えて……お願いします」
「うん。準備出来たら声掛けて」
「……分かった」
こうして湊は和葉と詩音を駅まで送ることになったのだった。
「あっ、おにーちゃん!」
湊の姿を見つけるなり詩音が真っ先に駆け寄っていく。
湊は少し驚いたように目を瞬かせた後、ふっと表情を和らげた。
「おはよう」
「おはよう……」
和葉がぎこちなく挨拶を交わしたその時、詩音が湊の手を引っ張った。
「ねぇねぇ、おにーちゃんもいっしょにたべよ!」
「え?」
「いーでしょ? おにーちゃんもいっしょがいい!」
期待に満ちた瞳で見上げられ、湊は困ったように笑いながら、
「俺は構わないけど……」
湊の視線が和葉へ向く。
「…………っ」
気まずさはあるものの断る理由が見つからず、和葉は小さく頷いた。
「それじゃあ、一緒に食べよう」
「わーい!」
こうして三人は同じテーブルを囲むことになった。
席へ案内されると、湊は率先して詩音の世話を焼いた。
共に料理や飲み物を取りに行ったり、食べている間も口元を汚せばさりげなく紙ナプキンで拭ったり。
「これおいしー! おにーちゃんのそれ、ちょっとたべたい!」
「詩音、食べたいなら後で取りに行けばいいんだから人の物を欲しがらないの」
「いいよ、詩音ちゃん、はい」
「あーん」
湊の食べている物が気になって強請ると食べさせてもらったり、詩音はすっかり懐いていて終始ご機嫌だ。
そんな二人の様子を見ながら和葉は複雑な気持ちになっていた。
(優しいところは変わらない、子供相手でも……)
微笑ましい光景のはずなのに、胸の奥が少しだけ苦しくなる。
(もし――)
そんな考えが頭を過ぎった和葉は慌ててそれを打ち消した。
(何考えてるのよ……もしもの話なんて、意味は無いんだから……)
考えても仕方のないことだと自己完結した和葉は時折話し掛けてくる詩音に笑顔で相槌を打ち、三人での時間を過ごしていった。
それから朝食を終え、共にエレベーターに乗って部屋の前までやって来る。
「それじゃあね――」
和葉が挨拶をして部屋へ入ろうとするところへ湊は、「今日帰るのか?」と問い掛けた。
「うん」
「車で来てるの?」
「ううん。電車」
和葉がそう答えると湊は少し考えるように視線を落とした後で言った。
「それじゃあ駅まで送るよ」
「え?」
思わぬ申し出に和葉は目を丸くして、
「そんな、悪いから」
慌てて断ったものの、湊は首を横に振った。
「悪くない」
「でも……」
「俺がしたいんだ……させて欲しい」
真っ直ぐな眼差しが向けられた和葉は返す言葉を失い、折れるしかなかった。
「……じゃあ、お言葉に甘えて……お願いします」
「うん。準備出来たら声掛けて」
「……分かった」
こうして湊は和葉と詩音を駅まで送ることになったのだった。