約束の続きをもう一度~再会した御曹司の彼は、娘ごと私を甘やかして離しません~
「……あれ? 詩音ちゃんは?」
湊が尋ねると和葉は少し困ったように笑った。
「直前まで湊さんのことを待ってたんだけど眠かったみたいで……ついさっき寝ちゃったわ」
「そうか……悪いことしたな」
「仕方ないよ。それより……帰りが思ってたより早くて驚いたわ」
「……そのことも含めて、話があるから……リビングで話そう」
「……分かったわ」
二人はそのままリビングへ移動する。
「湊さん、何飲む?」
「……そうだな……ビールでも飲むかな……今日は飲みたい気分なんだ」
「分かったわ」
和葉は冷蔵庫から缶ビールを二本取り出して湊の元へ歩いて行くと、一本を差し出した。
「ありがとう」
「ううん」
並んで座る二人は缶を手にしてプルタブを開けたあと、
「乾杯」
缶を軽く合わせると、それぞれ一口だけビールを口にする。
湊はそれ以上飲むことなく缶をテーブルへ置いたので和葉もそれに倣うように置くと、二人の視線が重なった。
「……和葉に、話さなきゃならないことがある」
「うん……」
湊は一度息を整えると、今日あったことを順番に話し始めた。
見合い相手の女性や父親が和葉や詩音の存在を知っていたことと、何を言われても縁談を受けるつもりが無いと断ったこと。
それを知った上でも諦めないと言われたこと。
そして、和葉が住んでいたアパートの部屋が荒らされた件について。
「……まだ確証はないが、部屋を荒らしたのも親父の仕業かもしれないんだ」
それを聞いた和葉は何も言わず、ただ呆然と湊の話を聞いている。
「すまない……俺のせいで」
「湊さん……」
「もっと早く気付くべきだった。お前たちが危険に巻き込まれる前に、俺が何とかするべきだったんだ」
湊は拳を握り締めると悔しそうに俯いた。
「恐らく、親父は俺を思い通りにする為なら今後も何か仕掛けてくる。だから……今すぐ全部捨ててでも親父と縁を切りたいけど……会社で働いている人間や、その家族まで巻き込むことになるから、簡単にはいかない。それでも――和葉と詩音ちゃんのことは必ず俺が守る。何があっても俺が守るから……安心してくれ。親父にも見合い相手にも好き勝手はさせない」
「……湊さん……」
その真剣な眼差しを見つめながら和葉は唇を噛んだ。
和葉は嬉しかった。
自分たちを守ると言ってくれたことが。
けれど、同時に胸の奥が締めつけられるように苦しくなった。
湊の隣にいる限り誰かに狙われ続けることに加えて、そのことで永遠に湊を悩ませてしまうことを。
それに、湊を信用していないわけではないけれど、万が一にも詩音に危険が迫ることになるのを何よりも恐れている和葉はゆっくりと顔を上げると真っ直ぐに湊を見つめた。
その瞳には、悲しみが滲んでいる。
「……やっぱり……私たち……一緒にいない方がいいと思うの」
「……なっ」
思いがけない言葉に固まる湊に和葉は悲しげに微笑む。
「やっぱり私たちは一緒になるべきじゃない……だから、私と詩音は、ここを出て行くわ」
それだけ言って立ち上がろうとした和葉を湊は、
「ふざけるな、そんなこと、させるわけねぇだろ」
低い声でそう口にすると、和葉の腕を引いて自身の方へ引き寄せた。
湊が尋ねると和葉は少し困ったように笑った。
「直前まで湊さんのことを待ってたんだけど眠かったみたいで……ついさっき寝ちゃったわ」
「そうか……悪いことしたな」
「仕方ないよ。それより……帰りが思ってたより早くて驚いたわ」
「……そのことも含めて、話があるから……リビングで話そう」
「……分かったわ」
二人はそのままリビングへ移動する。
「湊さん、何飲む?」
「……そうだな……ビールでも飲むかな……今日は飲みたい気分なんだ」
「分かったわ」
和葉は冷蔵庫から缶ビールを二本取り出して湊の元へ歩いて行くと、一本を差し出した。
「ありがとう」
「ううん」
並んで座る二人は缶を手にしてプルタブを開けたあと、
「乾杯」
缶を軽く合わせると、それぞれ一口だけビールを口にする。
湊はそれ以上飲むことなく缶をテーブルへ置いたので和葉もそれに倣うように置くと、二人の視線が重なった。
「……和葉に、話さなきゃならないことがある」
「うん……」
湊は一度息を整えると、今日あったことを順番に話し始めた。
見合い相手の女性や父親が和葉や詩音の存在を知っていたことと、何を言われても縁談を受けるつもりが無いと断ったこと。
それを知った上でも諦めないと言われたこと。
そして、和葉が住んでいたアパートの部屋が荒らされた件について。
「……まだ確証はないが、部屋を荒らしたのも親父の仕業かもしれないんだ」
それを聞いた和葉は何も言わず、ただ呆然と湊の話を聞いている。
「すまない……俺のせいで」
「湊さん……」
「もっと早く気付くべきだった。お前たちが危険に巻き込まれる前に、俺が何とかするべきだったんだ」
湊は拳を握り締めると悔しそうに俯いた。
「恐らく、親父は俺を思い通りにする為なら今後も何か仕掛けてくる。だから……今すぐ全部捨ててでも親父と縁を切りたいけど……会社で働いている人間や、その家族まで巻き込むことになるから、簡単にはいかない。それでも――和葉と詩音ちゃんのことは必ず俺が守る。何があっても俺が守るから……安心してくれ。親父にも見合い相手にも好き勝手はさせない」
「……湊さん……」
その真剣な眼差しを見つめながら和葉は唇を噛んだ。
和葉は嬉しかった。
自分たちを守ると言ってくれたことが。
けれど、同時に胸の奥が締めつけられるように苦しくなった。
湊の隣にいる限り誰かに狙われ続けることに加えて、そのことで永遠に湊を悩ませてしまうことを。
それに、湊を信用していないわけではないけれど、万が一にも詩音に危険が迫ることになるのを何よりも恐れている和葉はゆっくりと顔を上げると真っ直ぐに湊を見つめた。
その瞳には、悲しみが滲んでいる。
「……やっぱり……私たち……一緒にいない方がいいと思うの」
「……なっ」
思いがけない言葉に固まる湊に和葉は悲しげに微笑む。
「やっぱり私たちは一緒になるべきじゃない……だから、私と詩音は、ここを出て行くわ」
それだけ言って立ち上がろうとした和葉を湊は、
「ふざけるな、そんなこと、させるわけねぇだろ」
低い声でそう口にすると、和葉の腕を引いて自身の方へ引き寄せた。


