約束の続きをもう一度~再会した御曹司の彼は、娘ごと私を甘やかして離しません~
「俺が言ったのは、あくまで選択肢の一つだよ。必ずしもそれをしろって言ってるわけじゃない。娘ちゃんにとって何が一番いいのか、和葉さんはどう思っているのか、それも二人でちゃんと話し合って決めればいい。少なくとも俺のところに来れば仕事も生活も何とかなる。そういう選択肢があるってことだけは覚えておいてくれ」
「……はい」
「それと、もし国内に残る場合は俺の親友が東北で会社を経営してるんだ。そっちに行ってもいいって言うなら仕事も生活も面倒を見てもらえるよう俺から頼んでみるよ」
「ありがとうございます」
「まあとにかく和葉さんとよく話し合って、後悔しない選択をしてほしい。湊くんには沢山の味方がいる。そのことだけは忘れちゃ駄目だよ」
「はい」

 その後食事をしながら話をした二人。

 誠をホテルに送った湊は帰宅する。

 玄関を開けると和葉が出迎えた。

「お帰りなさい」
「ただいま。詩音は?」
「千宙くんと遊び疲れて眠ってるわ」
「千宙は?」
「少し前に真宙さんがいらして、二人でお話ししてるみたい」
「そうか」

 湊は頷くとそのまま二人のいる部屋へ向かった。

「真宙、来てたのか」
「はい。お邪魔しております」

 真宙は立ち上がることなく軽く頭を下げる。

「引き継ぎのほうは、上手くいきそうか?」
「ええ。ひと月もあれば全ての準備は整いそうです」
「そうか」

 その報告に湊は安堵したように息を吐いた。

「千宙も、ありがとうな」
「いえ」
「二人と和葉に聞いてほしい話がある。ちょっといいか?」

 その言葉に真宙と千宙は顔を見合わせてから頷き、和葉も加わると四人は向かい合わせになるように腰を下ろす。

「今日、俺の知り合いで会社経営している誠さんに会ってきた。親父とのことを話した上で、このまま国内で過ごすよりも渡米した方がいいんじゃないかって言われたんだが……どう思うか意見を聞かせて欲しい」

 三人は湊の言葉に驚きつつも、初めに口を開いたのは真宙だった。

「そうですね、私も、それが良いかと思います。社長がご実家や会社から離れたとしても、国内に居る限り会長は様々な手を使って連れ戻そうとするでしょうから……」

 そして真宙の言葉を聞いた千宙も頷いた。

「そうだね、兄ちゃんの言う通りだと俺も思います。ただ、和葉さんや詩音ちゃんのことを考えると、すぐには答えが出せないんですよね?」
「……ああ。和葉は、今の話を聞いてどう思う?」

 湊に問われた和葉は少し考えるように俯いた後で顔を上げ、

「…………正直、海外に行くのは不安がある。詩音のこともあるから……。でも、国内に残るのも不安があるのは事実で……安心して生活していくことを考えるなら……海外に行く方がいいのかなって……そんな思いもあるわ……」

 複雑な心境を口にした。
< 85 / 124 >

この作品をシェア

pagetop