~KissHug~
千鶴の残り香が消えない


「ぷくちゃん…
おいで………」

私は素良に進んで行った。

「よくも見せつけたね。」
私は、自分でも驚くくらい冷たい声

「ごめん、予想外だった。」

「大好きなんだ…素良…」

「そうだよ。大好きだよ。」

「あの人とのキスと
私のキスとどっちがいいの?」


私の様子に
もう一人の素良が現れた。

「わかんない。」

「わかんないじゃ、許さないから…」

「きて、ぷくちゃん…」

「いやだもん、憎たらしいから…」

「早く、チャイムがなる…
約束、約束…」


幼稚園児になった素良が
だだをこねた。


私は、素良の頬を乱暴にギュウっとはさんだ。



「許さないから。
今日は、絶対素良のところに行くから。
あの人と帰らないでね。」

「ぷくちゃん
それってやきもち?」

素良が怪訝な顔をした。


   悪魔め・・・・


千鶴の残り香がする素良を
抱きしめた。


   華奢な女とぽっちゃり女


   香水の匂いと無臭な女



「どっちが好き?」
たまらなくなって聞いた。


幼稚園児がいつもの素良に戻っていた。



「めんどくさいこときくな。」

そう言って、私にキスをする。
千鶴の時よりずっと激しいキス・・・・


    悪魔
    冷酷人

でも愛してる・・・
どんな素良も愛しい・・・・


素良の魔法はどんどん私を
縛りあげる。


悲鳴をあげてもほどけない・・・・
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