~KissHug~
  なんか素良にも
  おかあさんに似てるっていわれたよ

  複雑な気持ちだけど
  その人が優しかったから
  よかったわ・・・・

「初恋の人に似てるんだ。」

「そうだよ。
そしたらさ、他の女が見えなくなったんだ。」


「喜んでいいのか・・・
悪いのか・・・・太っている人なんだね。」


「俺は、運命だと思ってる。
かあさんには言うなって口どめされてた。
俺もまた会いたいから
秘密にした。
雅恵さんは、何度かやってきて
俺を寝かせてから帰って行った。
いつも絵本を読んでくれた。
かあさんは忙しくてそんなことしてくれなかったからさ
俺はすごくうれしかった。
あの柔らかい感触が
まるで柔らかい毛布のようで・・・・・

『よっちはいい子に育ってね。
愛する人を泣かす子になっちゃダメだよ。
本当に愛した人は最後まで幸せにしてあげてね』

その夜、雅恵さんはそう言って
俺の額にキスしたんだ。
柔らかい感触が今も残ってる。
でもそれからどんなに待っても雅恵さんは
こなかった。

かあさんには言えなかった。
約束まもらなきゃって…
その何日か後
かあさんがしばらく仕事を休んで
家にいたんだ。
俺は嬉しかった。

でもさ、夜目覚めると
かあさんがないていたんだ。


『雅恵ごめんなさい』って

雅恵さんのことをかあさんに話したのは
かあさんがあんな風になる前


新しいとうさんが妹を連れて
出て行って
かあさんが荒れてたから


『雅恵さんは優しかった!!
かあさんが雅恵さんだったらよかったのに!!』って
言っちゃったからさ。


あの夜もかあさんは
半狂乱で泣き続けた

『雅恵、ごめんなさい』ってさ・・・
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