~KissHug~
  素良は深く、千鶴を愛してる

私にも嫉妬の炎が着火する。

「いや……
わからないんだ。
確かに、千鶴を愛してる。
千鶴に嫉妬も感じるけど……
俺に最初にその気持ちを強く持たせたのは……」


私を肩から離して
両頬を細い指でおさえた。

「ぷくちゃん……」


  え?

「ぷくちゃんが芳樹と距離が縮まって行くたびに
イラついた。
芳樹に気持ちを支配されていく
ぷくちゃんにイラついた。
でも約束してたじゃん。
この関係は絶対に続けるって。
最初は、ほんと
その柔らかさに抱きしめられたかった。
俺の心には千鶴もいたし
でもぷくちゃんに抱きしめられるたび
抱きたいと思うようになった。
あの頃から
芳樹が入り込んできて
ぷくちゃんは、芳樹の手に
少しづつ縛られ始めた。
だから、俺の形跡をぷくちゃんに
残してやった。
イラついた……
初めてキスした時も
芳樹と同じ石鹸の匂いがした時も
首筋にキスマークが
ついていた時も
気が狂いそうだったんだ。
乱暴に俺のものにしたいって
自分が嫉妬で支配されていくのが
つらかった。」



素良の口から語られているのは
私を愛してるってこと?



「だから、もうやめようって言った。
俺から、約束を切った。
だけど、逆にあいつが俺に持ってくる
メッセージにムカついた。」


「俺は、芳樹っていう存在に
完璧に踊らされてる。」


「私がメッセンジャーってそういうこと?」

「そう。」

「そして、千鶴も
あいつと俺の間のメッセンジャーに
なったってこと。」

「芳樹は誰も愛してないの?」

「わからない。
ただ、俺より冷酷かもな~」            
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