~KissHug~
芳樹は震えていた。

「暴力っていう行為の卑怯さを
知っているのに
憎んでいたのに
俺は、嫉妬に狂って
この手で・・・・・
だからきっと、これからも
きっと・・・・
おまえを暴力で脅して
自分のそばに置いておこうとするんだ。」


芳樹は震え出した。


「素良とつながっている
本当の赤い糸をおまえがたどっていこうとしたら
俺はおまえの糸を何度でも
切ろうとするだろう。
素良におびえて
これから俺はきっと
おまえを力ずくで抱きしめる。
それが怖かった・・・・
あの日、かあさんを思い出した。
かあさんがとうさんを見る目と
同じ目で俺を見たから・・・・」


芳樹が小さく見えた。
傷つけたのは私だった。
追い込んだのは私・・・・・


「ごめんな。
歩来・・・・・・。」


芳樹の頬が赤く染まった。
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