追放先で再会した初恋の男は、罪深い私を愛し続ける 〜断罪令嬢エリザベートの初恋回帰〜
「分からないから聞いたのよ……」

また勝手な憶測で間違った言葉を口にしたくない。
そのために聞いたのだ。

「――あいつらは拾った。年の離れた姉が上級聖女だと分かってから家庭崩壊したらしい」

この国はつい最近まで聖力を持つ乙女を神殿が保護する風習があった。

殆どの者は三歳で行われる判定の儀で聖力の有無や保有量が測定されるが、稀に歳を重ねてから聖力を持つことが分かる場合がある。
その際も同様に、召し上げられるのだが、この国シルドバーニュでは褒章が手厚く、排出した家には謝礼が支払われる。
その大金に人生が狂った人間は少なくない。

ロマとティアの両親もまた、大金に惑わされ”日常”を捨てたそうだ。
働くことを疎かにして、父親は賭博や女遊びに耽り、そして夫婦の中は拗れていった。

蔑ろにされた二人は姉を頼ったが、神殿に召し抱えられた姉が二人に手を差し伸べることはなかった。
そのため二人はつい最近まで聖女を嫌っていたという。

見捨てられたと感じたのだろう。

しかし神殿の実情は世間が思うものとは違っていた。
入れば最後、二度と家族と会うことは叶わぬ場所だったのだ。

そして聖力を失った元聖女は、結界の外の一番瘴気の濃い場所から生まれる怪物へ体のいい餌として与えられていた。
そうすることで神殿は怪物を大人しくさせていたらしく、それを代々の国王は目を瞑っていた。

だがロイドの断罪にならびに、ロイドを支持していた神殿の罪も明らかになり、王太子ベルナルドによって王が隠していた罪は公表された。

王宮に上がる機会のあったエリザベートですら、それは知らないことだった。
これらの事実を鑑みると、ロマとティアの姉はきっと死んでいたのだろうと導き出される。

「……だからあなたが保護しているのね」
「まだまだこれからって奴らを放っておけねぇだろ」

――あいつらには未来がある。

そう告げるベリルは情に厚い。
優しいのだ。

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