追放先で再会した初恋の男は、罪深い私を愛し続ける 〜断罪令嬢エリザベートの初恋回帰〜

ただいま

あれから数週間が経った。

テオに攫われた日、いや、その前からずっとエリザベートは見守られていた。
冷たい秋の空を高い位置で旋回する鳥はステラという辺境伯の鷹で、本当の監視役は彼女だったそうだ。

ステラにエリザベートの動向を見張らせていたベリルはディート地区を離れた後に警告を受け、目星をつけていたステイツ子爵家が所有する屋敷までの距離から、馬車移動が可能なルートを導き出し必死に探してくれたという。

さらにベリルは案内役として、その任務は本来ならば一日限りのものだった。
それをわざわざ理由をつけてディート地区で出来る仕事に集中させたという。

これら一連の真実は、ベリルの仲間が後日暴露したことでエリザベートが知ることとなった。


――――不意に扉を叩く音がした。
夕焼けが窓から差し込み始め、その頃合いから察してそれが誰か直ぐに分かる。

長椅子に座っていたエリザベートが絵本を閉じると、先ほどまでずっしりとした膝の重みが消えて小さな足音が二つ、駆けて行く。
その後を追うように歩いて行けば、すでに子供たちが扉を開きベリルに話しかけている。

その姿に目許を和らげてエリザベートが見つめていると、ベリルの両腕が広げられた。

「おかえりなさい」

そう言って歩み寄り、広げられた腕に身体を預けると小さな温もりが二つエリザベートの足元へくっついた。

「ただいま」

優しい声が響き、愛しい人の口付けがこめかみへと落ちてくる。

幸せだ。

まるで初恋が芽吹いたあの日々に、戻ってきたみたいだった。
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