結婚してもおひとり様を貫きますから~俺様御曹司は孤独な契約妻に愛されたい~
「冬馬。青山さんは承知してくれている」
細かな説明のない様子に、結婚について彼も知っていた話だと確信する。ただこの反応からすると、相手が私だとまでは聞かされていなかったのかもしれない。
「これでも、冬馬には悪いことをしたと思っているんだぞ。私にも挽回の手伝いをさせてくれ。なに、大丈夫だ。青山さんは芯のある女性だ」
どういう意味か、私にはわからない。もしかしたら、笹島さん関連のことを指しているのかもしれない。そして発言は会長としてというよりも、父親として声をかけているような気がした。
「お互いを知る時間が必要だろう。私はしばらく席を外すから、ここで話をするといい」
明らかに不服そうな社長とふたりきりにされるのは、たまらなく嫌だ。彼が醸す剣呑な空気は、会長だって感じているはず。
さっと立ち上がり、手をひらひらと振りながら部屋を出ていく会長に、つい恨みがましい視線を向けていた。
ぱたりと扉が閉まると、不安も緊張もさらに増す。
「はあ」
社長の重いため息に、ビクッと肩が跳ねる。彼は髪をかき上げながら、仕方なそうにさっきまで会長が座っていた私の向かいにどかっと腰を下ろした。
「青山瑞希」
「は、はい」
正面から向けられた、不躾な視線に身を縮こませる。
秘書課に所属しているため、社長と顔を合わせる機会はそれなりにある。
けれど直接の担当ではないし、そもそもこの人は愛想のよい人じゃない。社員との雑談に応じる姿などほとんど見たことがなく、私も必要最低限の関りしかなかった。
「なぜ、これほど急な結婚の話を受け入れた?」
「それは……」
「俺としては結婚の必要性は理解しているが、不本意だ。誰が相手であっても、必要な場以外で妻として扱う気はない。俺の立場に目がくらんで、贅沢ができると期待しているのならやめておけ」
淡々と、一方的に言われて呆けてしまう。
「聞いているのか?」
ジロリと鋭い視線を向けられてハッとする。そうして言われた言葉を頭の中で反芻して、いくらなんでもひどい言い草だと苛立ちが募った。
細かな説明のない様子に、結婚について彼も知っていた話だと確信する。ただこの反応からすると、相手が私だとまでは聞かされていなかったのかもしれない。
「これでも、冬馬には悪いことをしたと思っているんだぞ。私にも挽回の手伝いをさせてくれ。なに、大丈夫だ。青山さんは芯のある女性だ」
どういう意味か、私にはわからない。もしかしたら、笹島さん関連のことを指しているのかもしれない。そして発言は会長としてというよりも、父親として声をかけているような気がした。
「お互いを知る時間が必要だろう。私はしばらく席を外すから、ここで話をするといい」
明らかに不服そうな社長とふたりきりにされるのは、たまらなく嫌だ。彼が醸す剣呑な空気は、会長だって感じているはず。
さっと立ち上がり、手をひらひらと振りながら部屋を出ていく会長に、つい恨みがましい視線を向けていた。
ぱたりと扉が閉まると、不安も緊張もさらに増す。
「はあ」
社長の重いため息に、ビクッと肩が跳ねる。彼は髪をかき上げながら、仕方なそうにさっきまで会長が座っていた私の向かいにどかっと腰を下ろした。
「青山瑞希」
「は、はい」
正面から向けられた、不躾な視線に身を縮こませる。
秘書課に所属しているため、社長と顔を合わせる機会はそれなりにある。
けれど直接の担当ではないし、そもそもこの人は愛想のよい人じゃない。社員との雑談に応じる姿などほとんど見たことがなく、私も必要最低限の関りしかなかった。
「なぜ、これほど急な結婚の話を受け入れた?」
「それは……」
「俺としては結婚の必要性は理解しているが、不本意だ。誰が相手であっても、必要な場以外で妻として扱う気はない。俺の立場に目がくらんで、贅沢ができると期待しているのならやめておけ」
淡々と、一方的に言われて呆けてしまう。
「聞いているのか?」
ジロリと鋭い視線を向けられてハッとする。そうして言われた言葉を頭の中で反芻して、いくらなんでもひどい言い草だと苛立ちが募った。