結婚してもおひとり様を貫きますから~俺様御曹司は孤独な契約妻に愛されたい~
「私がコンペで受賞できたのは、冬馬さんの支えがあったからです」

 なにも言わず、そっとドリンクを差し出してくれる優しさ。忙しいはずの彼が、家事を手助けしてくれた。
 些細なことというかもしれないが、それがどれほど私の助けになっていたか。感謝を伝えると、やっぱり冬馬さんは「大したことはしていない」と苦笑した。

「あなたの協力があったから、私はコンペに集中できました」

「受賞は、瑞希の実力だ」

 違うと、首を横に振る。頑なかもしれないけれど、ここだけは譲れない。

「冬馬さんや会長をはじめ、周囲から認めてもらえてうれしかったです。がんばった甲斐がありました」

 冬馬さんは口を挟まないで聞いてくれている。

「私の評価が、その、お、夫の評価にもつながるでしょうし」

 気恥ずかしさもあって、彼の方を見られない。視線を手もとに落として続ける。

「少しは役に立てたようで、本当によかった」

 自己満足かもしれないけれど、努力した日々は無駄でなかったと信じている。

 でも隣から反応がなくて、ちょっと重すぎる発言だったかと早々に後悔する。

「……瑞希」

 不意に名前を呼ばれて、ぴくっと肩が跳ねる。
 それから体が温もりに包まれて、頭の中が真っ白になった。

「はあ……」

 首筋に顔をうずめられる。彼が吐き出した吐息が肌をくすぐり、体がぶわっと熱くなる。

 冬馬さんに、抱きしめられている?
 ようやく理解が追いついたものの、どうしてこうされているのかはわからない。されるがまま、ひたすらおろおろしていた。

「こんなの、かわいすぎるだろう」

「か、かわ……」

 私が?
 わけがわからない。
 冬馬さんが発したとは思えない言葉に、軽くパニックになりそうだ。
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