結婚してもおひとり様を貫きますから~俺様御曹司は孤独な契約妻に愛されたい~
 誰かの熱が、こんなにも安心させてくれるものだなんて忘れていた。もちろん、誰でもいいわけじゃない。冬馬さんだからこんな気持ちになる。

 熱い舌が、口内を余すことなく暴いていく。
 そうして最後に、遠慮がちに隠れていた私の舌を絡めとった。

 体から力抜けていき、彼の腕に縋りつく。
 冬馬さんはさらに体を密着させ、逃がさないとでもいうように私を囲い込んだ。

「はあ……」

 ようやく解放され、大きく息を吸い込む。恥ずかしくて顔を上げられず、下を向いたまま。
 力がまったくはいらず、私を抱き込む彼に身を預けた。

「今夜は瑞希を放したくない」

 彼の鼓動が、触れた頬に伝わる。

 誰かに抱きしめられたのは、いつぶりだろうか。
 幼い頃は、もしかしたら両親も私をたくさん抱きしめてくれていたのかもしれない。
 けれど物心がついた頃には家族関係が綻びはじめており、両親から温もりを与えられた記憶はない。

 無性に甘えたくなって自分から彼に擦り寄ると、私を抱きしめる腕にさらに力がこもる。

「放せそうにない」

 彼らしくない、掠れた声で懇願される。

 どうして?なんて疑問が浮かんだのは一瞬で、すぐに消えていく。
 それよりも、好きな人に求められていることに胸が震えた。

 彼の背に両腕を回しながら、胸もとに顔をうずめる。

「……一緒にいてほしい」

 小声でなんとか伝えると、冬馬さんは私の顎に手をかけて顔を上げさせた。

 真っすぐに私を見つめる鋭い視線が、「いいんだな?」と確認してくる。
 それに応えるように瞼を閉じると、深い口づけが再開された。

「んん……」

 彼に翻弄されて、羞恥心はすぐに薄らいでいく。自ら舌を差し出し、積極的に絡ませた。
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