結婚してもおひとり様を貫きますから~俺様御曹司は孤独な契約妻に愛されたい~
 一度崩れてしまえば、もう我慢なんてできない。そもそも、アルコールで自制心なんてまともに働いていない。ひたすら甘い声をあげ続け、彼のこと以外なにも考えられなくなっていく。

「意外と素直なんだな」

 からかっている雰囲気はないけれど、私ばかりが乱されていることが無性に悔しくなる。

 いつだって冷静な彼の、余裕をなくしたところを見てみたい。
 ずっと閉じていた瞼を、無理やり開ける。睨みつけるような勢いでいたはずなのに、視界に飛び込んできた甘さ全開の彼の眼差しに、ドクリと鼓動が跳ねた。

 これでも、本当に気持ちを伴っていないっていうの?

 彼の以前の女性関係がどんなものだったのか、本当のところは知らない。
 悪評を消すために結婚したのだから、既婚者になってからはさすがになにもないはず。

 でも自他ともに厳しい冬馬さんも、欲がないわけではないだろう。
 私は契約の妻とはいえ、表向きは仲の良い夫婦を演じている。だから、関係を持ったところで周囲から咎められるわけでもない。

 私がいいと言ったからこうして抱いているのだと思っていたけれど、違うの?

「冬馬、さん……」

 彼を呼びながら腕を伸ばす。私の手を掴んだ冬馬さんは、自身の頬に添えさせた。

 これはきっと、雰囲気作りに違いない。そう思っていなければ、どんどん気持ちが大きくなってしまいそうだ。

 彼を見つめ続けていれば、取り返しのつかないことを口走ってしまいそう。「好き」だなんて伝えても、冬馬さんを困らせるだけだ。

 目を閉じて、彼に身をゆだねる。私の手の甲に口づけて解放すると、冬馬さんは下半身へ腕を這わせていった。

 焦らしながら、ゆっくりと触れていく。この後どうされるのかを意識させるかのように、下腹部を優しくなでられた。途端に疼きが大きくなり、「はやく」と口走ってしまいそうになる。

 脚のつけ根に触れられて、ひゅっと息をのむ。そのまま彼は、私の体の中にゆっくりと指を沈めた。

 シーツをきつく握りしめて、体の熱を逃がそうと必死に首を振る。
 指の動きはどんどん速くなっていき、たまらず身をよじった。

「やぁ……」

 早々に高められて、瞼の裏が白く染まる。
 限界の訪れに、全身に力がこもった。

「ああぁ……」

 絶頂を極めて、体が小さく痙攣する。
 それから一気に力が抜けて、四肢を投げ出した。
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