結婚してもおひとり様を貫きますから~俺様御曹司は孤独な契約妻に愛されたい~
 冬馬さんが渡米した二日後の週末。
 今日は、久しぶりに友人の公佳(きみか)に会うことになっている。高校時代からの付き合いで、私の家庭環境を知った上で今でも付き合ってくれる子だ。

 待ち合わせのカフェに着き、公佳の姿を見つけた。

「お待たせ」

 いつもは笑みを浮かべて私を迎えてくれる彼女だが、今日は不満げに唇を尖らせている。

「ちょっと、瑞希。結婚したってどういうことよ!」

 開口一番飛び出したのは、その表情から想像した通りの詰問口調だ。
 結婚の報告だけはしてあったものの、お互いの都合が合わずに直接の報告は今日まで延びてしまっていた。私の口から早く聞きたかったのにと、公佳は大げさに拗ねてみせた。

「いろいろと事情があってね」

「事情?」

 眉をひそめた彼女に、訳ありの相手でもないし、深刻な問題はないと手を振って否定する。

「ほら。うちの家庭のことは知ってるでしょ? 相手はね、私があの人たちのせいで困っていたところを助けてくれた男性なの。それで意気投合して……」

 彼女は、私の父親の借金癖を知っている。眉間にしわを寄せて不快感を隠さないのは、私のために怒ってくれているということ。

「ご両親のことは、もう大丈夫なのよね?」

 高校生の頃、両親からは私が稼いだバイト代を借金の返済に差し出すように繰り返し言われた。わずらわしさから渡してしまったこともあるが、一度も返されていないと公佳も知っている。

 進学を機に家を出てからは一度も応じていないものの、これまでお金の無心は何度もされてきた。その極めつけが、会社の付近まで尋ねてきた借金取りだ。うんざりという言葉では済ませられないところまできていたが、さすがにそれは彼女に話せていない。

「もちろん。彼がいろいろと手を貸してくれて、縁が切れているような状態なの」

 事情を明かすと、公佳がようやく表情を緩めた。
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