結婚してもおひとり様を貫きますから~俺様御曹司は孤独な契約妻に愛されたい~
 翌朝は、いつもよりゆっくり起き出した。昨日のこともあって、少し緊張気味に部屋を出る。

 そろりと覗くと、ダイニングにはすでに冬馬さんの姿があった。テーブルにはタブレットが置かれ、いつもと変わらない様子になんだか拍子抜けする。

「おはよう」

 私に気づいた彼が、顔を上げて声をかけてくる。浮かべた小さな笑みに、やっぱり素敵だなと見惚れそうになった。

「お、おはようございます」

 慌てて返し、キッチンへ向かう。
 ふたり分の食事を用意して席に戻ってくると、すでにコーヒーを注いだカップが用意されていた。

 冬馬さんも、仕事を止めてサンドウィッチを手にする。

「昨日は、騒がせて悪かった」

 私がひとつ食べ終えたところで、タイミング待っていたように冬馬さんが切りだす。

「あれは冬馬さんが悪いんじゃなくて、笹島さん親子が勝手に押しかけてきただけです」

「瑞希も嫌な思いをしていたはずだと、後から聞いている」

「誰に?」

 冬馬さんが不在の中、たしかに好意的とは思えない視線を頻繁に向けられていた。あの会議の場では、直接非難もされている。

「企画部の、岡本だ」

「岡本君が?」

 そうだと、うなずく彼に首をかしげる。

 たしかに岡本君は私を気にかけてくれていたが、だからといって冬馬さんに話すだろうか?

「彼は瑞希をかなり慕っているようだな。」

「苦楽を共にした仲間ですから」

 苦笑する私を、冬馬さんは探るように見てくる。

「夫としてちゃんと守ってやってくれと、強く言われたよ」

「岡本君が、そんなことを……」

 彼は私が結婚した当初から心配してくれていたとはいえ、そこまでだったとは思わなかった。
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