結婚してもおひとり様を貫きますから~俺様御曹司は孤独な契約妻に愛されたい~
 午後になり、支度を済ませて彼の車に乗り込む。

 冬馬さんだってひとりでいたいときはあるだろうに、貴重な休日を私と過ごしてくれる。それだけで幸せなのに、サプライズなお出かけに胸が躍った。

 車内では、仕事の話はいっさい出ない。彼に聞かれるまま、私が行ってみたいお店ややってみたいことを打ち明ける。

「――学生の頃がずっと好きで、来日公演が決まったので絶対に聞きに行きたくて」

 好きな洋楽アーティストが初めて来日すると聞いて以来、浮かれっぱなしだ。これまではライブもおひとり様で参加することが多くて、単身で乗り込むこともまったく平気。

「へえ。瑞希がそんなに気に入っているのなら、俺も聞いてみたいな」

 無理に合わせなくていいのにとチラッと思ったが、私が好きなものを彼も気に入ってくれたらと期待が膨らむ。

 それから冬馬さんは、フライト中に読んだ本がおもしろかったお教えてくれた。帰宅したら、借りる約束もしている。

 一時間半ほど車を走らせて到着したのは、アクアラインの途中に位置する人工島、(うみ)ほたる。ドライブデートの定番としてよく紹介されているスポットだが、来たのは初めてだ。

「話題になっていて、気になっていたんです!」

 車を降りて、周囲を見回す。
 よく晴れた今日は遠くまで見通すことができ、とにかく気持ちがいい。

「それはよかった」

 もう少ししたら、日が暮れ始める。その時間帯の景色はSNSで見たことがあるが、とにかく幻想的だった。今から実際に見られると思うと、ワクワクが止まらない。
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