結婚してもおひとり様を貫きますから~俺様御曹司は孤独な契約妻に愛されたい~
「君のメリットだが」

「借金の返済だと」

「それは会長との話だろ? 俺と君との契約は別だ」

 たしかにと、うなずく。

「そうだな。面倒ごとに二度と巻き込まれることのないよう、俺の持てるすべての力を使って君の両親へ牽制を入れる」

「そんなことが、できるんですか?」

 思わず食い気味に聞き返す。

 両親とどれだけ距離を置いても、こうして迷惑をかけられてしまう。
 借金取りが私に直接電話をかけてきたのは、おそらくどちらかが連絡先を漏らしたせいだ。こういう事態になるとわかっていただろうから、娘を差し出したようなもの。そんな人たちとは、もういい加減に縁を切ってしまいたい。

「血がつながっている以上、完全な縁切りは不可能。だが、そもそも親の借金の返済義務は、今の段階で娘の君にはない」

 法律に詳しくはないけれど、遺産相続をしたわけでもないのだから、私に責任はないとぼんやりと思っていた。それを主張できなかったのは、取り立て屋があまりにも怖かったからだ。

「弁護士を入れて、あらゆる対策をとる。両親が直接やり取りすることを望んでも、必ず間に人を挟むようにすればある程度は離れられるだろう。俺からはそれを提供する」

「両親から……離れられる」

 進藤社長の話に、私の中で期待が膨らんでいく。

 本当に可能なのかと視線で問うと、社長はきっぱりとうなずいて続けた。

「結婚となれば同居は必須だが、お互いの生活に必要以上に干渉し合わない。ほかに、君の言い分はあるか? メリットがあるとはいえ、結婚するとなれば君の時間を長く奪うことになる。言いたいことがあれば、今のうちに聞いておこう」

 優位な立場にありながら、社長はこちらの話もきく姿勢を示してくれる。冷たくて厳しい人だと捉えていただけに、これは意外だった。
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