結婚してもおひとり様を貫きますから~俺様御曹司は孤独な契約妻に愛されたい~
 瞼を伏せると同時に、涙がひと筋こぼれる。

「これで、瑞希の懸念はすべてか?」

 そうだと、うなずく。

「それなら――」

 体に回されていた彼の腕が離れていく。
 ポケットからな小さ箱を取り出した冬馬さんに、息をのんだ。

「瑞希、俺と本当の夫婦になってほしい」

 そういって見せられたのは、結婚得指輪だ。

 手もとと彼の間で、視線を往復させる。

 いつの間に用意していたのだろうという疑問と、それ以上に大きな喜びが込み上げてくる。
 抑えきれない感情に、引き結んだ唇の端が小さく震えた。

 面倒な私をここまで理解して、寄り添い続けてくれる人なんて冬馬さんしかいない。私がいいと言ってくれるのなら、もう拒み続ける理由はなかった。

「よろしく、お願いします」

 お互いに、自然と笑みが浮かぶ。
 泣き笑いの顔のまま、さらに続ける。

「結婚しても私、これまで通り趣味活を続けますからね」

 これだけは譲れない。そう主張した私に、彼はさらに笑みを深めた。

「ああ。俺はそれに、勝手に付き合う。もう瑞希を、おひとり様にはしないから」

 これからは義務ではなく、冬馬さんが自ら望んで一緒にいてくれる。そんな幸せな未来に、胸が満たされていく。

「さあ、瑞希。早速デートを続行する」

「え、あっ」

 手をつなぎ直した冬馬さんが、そのまま歩きだす。
 三百六十度広がる夜景を楽しんだ後は、ホテルのレストランへ連れて行ってくれた。

 お店自慢の海鮮料理がとにかく美味しくて、頬が緩む。今後の生活のこと、新婚旅行にも行こうという約束など、明るい話題に会話が弾んだ。
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