結婚してもおひとり様を貫きますから~俺様御曹司は孤独な契約妻に愛されたい~
『同居人がひとり増えた程度の金銭的負担くらい、どうってことない。それに結婚適齢期の女性の貴重な時間を、数年間も無駄にさせることになる。その代償と思えば足りないくらいだ』

 彼は、私にそう言う。
 言葉では気遣われているはずなのに、それを告げる口調は淡々とし、顔には感情が浮かんでいないからわかりづらい。でも、誠実な面もあるのだと言葉の端々に感じられる。

 律義さを発揮するべき場面は、ほかにあったはずだと思わなくもない。あの婚約破棄の場面だって、悪評が広まらない立ち回り方があったはず。

 けれどそうしなかったのは、彼なりの考えがあってのことだったのかもしれない。

 とにかく冬馬さんは私に結婚願望がないことを知っているのだから、適齢期とかべつに気にしなくてもいいのにと思う。
 予想外の気遣いに、私の中にあるお返しをしたいという気持ちが大きくなっている。

 勝手に朝食を用意しても、「いらない」「迷惑だ」と言われるかもしれない。そのときは自分の夕食用に残しておけばいいだけの話だ。

「決めた」

 ふたり分の朝食の食材を買って帰ろう。
 そう決断すると、素早く席を立ってカフェを後にした。


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