結婚してもおひとり様を貫きますから~俺様御曹司は孤独な契約妻に愛されたい~
 翌朝になり、身支度を整えてリビングに向かう。その奥のダイニングには、冬馬さんがすでに座っていた。

「おはようございます」

「おはよう」

 そのまま、奥のキッチンへ向かう。そうして、いつものように冷蔵庫から取り出した具材でサンドウィッチを作っていく。

 まずは卵サンド。これは料理上手な友人が教えてくれたレシピで、私のお気に入りだ。
 それから、たっぷりの野菜とハムを挟んだサンドウィッチ。この二種類が並ぶだけで、彩が豊かになる。

 いつもと違うのは、ふたり分を用意したという点。
 どんな反応をされるだろう。私が勝手に用意したのだから、なにを言われても落ち込む必要はない。そんな言い訳がましい考えが、頭の中をぐるぐる回っていた。

 さりげなさを装って、お皿を運ぶ。そうして自分の席にひとつ置き、彼の前にもそっと差し出してみた。

 チラッと盗み見る。

 目の前のサンドウィッチに気づいた冬馬さんは一瞬、怪訝な顔をした。

 やっぱり迷惑だったかな。変な気を回さなければよかったかも。

 早くも後悔しかけたそのとき、冬馬さんはこちらを見ることもなく、サンドウィッチを手に取った。
 その様子を、凝視する。

 手は男性らく骨ばっており、けれど指はすらりと長くて繊細な印象を受ける。名家の出とあって、所作はとにかく綺麗だ。

 ひと口頬張った冬馬さんに安堵しながら、さらに観察する。

 整った外見の彼が、私の作ったなんの変哲もないサンドウィッチを食べているのは、なんだかちぐはぐな気がする。
 あらためて、この男性と私が結婚しているなんて不釣り合いだなと思う。彼ならきっと相手は選びたい放題だっただろうし、契約の関係でもいいという女性だって見つかりそうなもの。

 それなのに私を選んだのは、会長の薦めだったから程度の理由。
 弱みを握っているというのも大きいだろう。脅されるようなひどい扱いはされていないが、私が裏切る可能性が低いという安心感があるのかもしれない。
< 22 / 145 >

この作品をシェア

pagetop