結婚してもおひとり様を貫きますから~俺様御曹司は孤独な契約妻に愛されたい~
 週末になり、普段よりも遅めに起き出す。

 身支度を済ませてリビングへ行くと、奥のダイニングに冬馬さんが席に着いていた。彼はいつものように、コーヒーを飲みながらタブレットを見ている。スーツ姿ではないから、仕事にはいかないのだろう。

 今日の彼は、白いポロシャツにブラックのパンツというシンプルな装いだ。でも高貴な雰囲気を感じるのは、その育ちのせいだろうか。
 数週間見た中で、冬馬さんは働きすぎだと思っていた。このまま、自宅でゆっくりするつもりなのだとほっとする。

「おはよう」

 私に気づいた彼が、声をかけてきた。

「おはようございます」

 冬馬さんが、チラッとこちらを見る。それから彼は、自身の前にあったコーヒーの入っていたポットを私の方へすっと押した。

「どうぞ」

 戸惑う私に、彼が言う。
 もしかして、私の分も淹れておいてくれたのだろうか。そう考えてポットを持ち上げると、予想通りの重みがあった。

「昨日、瑞希の飲んでいた豆がきれただろ?」

 なんの話かと、パチパチと瞼を瞬く。
 そういえば、自分で焙煎した豆は昨日使いきってしまったと思い出した。

「よく気づきましたね」

 見られていたとは思わなかった。

 冬馬さんが、小さく肩をすくめる。それ以上の説明をする気はないようだ。

「ありがとうございます」

 ポットを持って、キッチンへ向かう。
 もちろん、今朝もふたり分のサンドウィッチを用意する。

 週末の具材はいつもより豪華に。昨日のうちに作っておいたタンドリーチキンを挟んだものと、いつもの卵サンドにアボカドを加えたもの。

 手早く作り、席に着く。
 この一週間、ずっと彼の分も用意してきた。一度も拒まれることはなくて、どうやら迷惑がられてはいないと確信している。
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