結婚してもおひとり様を貫きますから~俺様御曹司は孤独な契約妻に愛されたい~
「気になるのなら、いつもの朝食の礼だとでも思っていてくれ」

「え?」

 隣を見上げたが、表情を変えずに正面を見すえたままだ。口調だっていつも通りの淡々としており、感情がうかがえない。彼の人となりをまったく知らなければ、不機嫌なのかもと不安になっただろう。

 でも……と、じんわりと温かくなった胸もとを手で押さえる。

 恐縮する私を、気にしてくれたのだろうか。
 勝手に用意した朝食に、お礼なんていらない。そう思ったけれど、そのまま言ってしまうのはあまりにもかわいげがない。

「ありがとうございます。ランチ、すごく美味しかったです」

 これ以上の遠慮は空気を悪くするだけ。それなら、ちゃんと感謝の気持ちを伝えておきたい。

「ああ」

 返ってくる言葉は短くて、相変わらず淡々とした雰囲気だ。
 けれど、冷たさは微塵もない。
 精神的な距離が少し近づいたかもしれない。そう感じたのは、私だけだろうか。


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