結婚してもおひとり様を貫きますから~俺様御曹司は孤独な契約妻に愛されたい~
「青山君。結婚したばかりで落ち着かないのはわかるが、それで仕事をおろそかにされては困るんだよ」
冬馬さんと副社長の話を聞いた日から三日経った午後のこと。秘書室内にやってきた副社長は、私を名指ししていきなり叱責をした。
室長をはじめ、勤続年数の長い社員らは離席していたため、副社長を諫められる人がこの場にいない。
「なにか、ありましたか?」
心当たりはなく、席を立って探るように問い返す。
「今夜は予定を入れてくれるなと、言っておいたはずだが? どうして食事会が入っているんだ」
副社長は外出を終えて帰社したばかりで、その足でここへ立ち寄ったようだ。
スケジュールは頭に入っていたが、念のためにタブレットを起動させて確認する。
たしかに、副社長が予定を入れるなと言っていた日はあるけれど、それはひと月先の話だったはず。口頭で言われたため、メモしか残っていないが。
今夜の予定は数日前には決まっていたもので、今朝も繰り返し申し送りしていた。そのときの副社長はとくになにも言わず、うなずいていただけだ。
「予定を開けておきたいのは、来月ではありませんでしたか?」
「今日だよ、まったく。とにかく、今夜は都合がつかないんだ。ほかを当たってくれ」
「え……」
話はそれだけだとでもいうように、さっさと背中を向けられてしまう。
重要度の高い会の上、相手は社長が来る予定になっている。こちらもそれなりの立場にある人が顔を出す必要があるが、副社長に割り振られた時点で、ほかに都合のつく人がいなかったのは確認済みだ。
「なにかありましたか?」
席に戻ってきた室長に、事態を説明する。
「困りましたね。専務も別件が入っていますし……」
「申し訳ありません」
「なにか、行き違いがあったのでしょう。繰り返し確認はされていたと思いますが。今後はさらに気を引き締めていきましょう」
長く勤める室長は、副社長の性格を熟知している。
予定を入れるなと言われた際に、『六月ですね』と念を押しているため、私としても聞き間違いじゃないと自信を持って言える。が、それをここで主張しても意味はない。どちらに非があるのかという追及よりも、今夜の食事会をどう乗り越えるかを考えなければならない。
冬馬さんと副社長の話を聞いた日から三日経った午後のこと。秘書室内にやってきた副社長は、私を名指ししていきなり叱責をした。
室長をはじめ、勤続年数の長い社員らは離席していたため、副社長を諫められる人がこの場にいない。
「なにか、ありましたか?」
心当たりはなく、席を立って探るように問い返す。
「今夜は予定を入れてくれるなと、言っておいたはずだが? どうして食事会が入っているんだ」
副社長は外出を終えて帰社したばかりで、その足でここへ立ち寄ったようだ。
スケジュールは頭に入っていたが、念のためにタブレットを起動させて確認する。
たしかに、副社長が予定を入れるなと言っていた日はあるけれど、それはひと月先の話だったはず。口頭で言われたため、メモしか残っていないが。
今夜の予定は数日前には決まっていたもので、今朝も繰り返し申し送りしていた。そのときの副社長はとくになにも言わず、うなずいていただけだ。
「予定を開けておきたいのは、来月ではありませんでしたか?」
「今日だよ、まったく。とにかく、今夜は都合がつかないんだ。ほかを当たってくれ」
「え……」
話はそれだけだとでもいうように、さっさと背中を向けられてしまう。
重要度の高い会の上、相手は社長が来る予定になっている。こちらもそれなりの立場にある人が顔を出す必要があるが、副社長に割り振られた時点で、ほかに都合のつく人がいなかったのは確認済みだ。
「なにかありましたか?」
席に戻ってきた室長に、事態を説明する。
「困りましたね。専務も別件が入っていますし……」
「申し訳ありません」
「なにか、行き違いがあったのでしょう。繰り返し確認はされていたと思いますが。今後はさらに気を引き締めていきましょう」
長く勤める室長は、副社長の性格を熟知している。
予定を入れるなと言われた際に、『六月ですね』と念を押しているため、私としても聞き間違いじゃないと自信を持って言える。が、それをここで主張しても意味はない。どちらに非があるのかという追及よりも、今夜の食事会をどう乗り越えるかを考えなければならない。