結婚してもおひとり様を貫きますから~俺様御曹司は孤独な契約妻に愛されたい~
「わ、わかりました。こちらもそのように準備をするので、よろしくお願いします」

 どうか間に合いますようにと願いながら、通話を終えてすぐさま動きだす。

 同行している冬馬さんの秘書と連絡を取り、フライト時間など細かなすり合わせをする。冬馬さんが帰国してからは、私がサポートをすることになる。今度こそ、ミスは許されない。

 空港への迎えの準備や、会談相手の情報と企画書などの資料をわかりやすくまとめる。それを移動中の冬馬さんに送信し終えると、今やれることはすべてやりきったと息を吐いた。

「青山さん。社長が大丈夫というのですから、心配はいりません」

「は、はい。私も、精いっぱいサポートさせていただきます」

 室長が、労わりの声をかけてくれる。

 私たちがバタバタしている間に、副社長は会社を出ていったようだ。横暴なところのある彼に不満はあるけれど、今はそれを言っているときじゃない。

「いってきます」

 時間が迫り、冬馬さんを迎えに空港へ向かう。
 エントランスを出ると、途端にむわっとした空気に襲われる。梅雨入りも間近に迫り、じめじめとした重い空気に体力を奪われるようだ。

 足早にタクシーに乗り込む。背もたれに体を預けると、瞼を閉じてこの後の予定をシミュレーションしながら過ごした。
 今は、冬馬さんを信じるしかない。彼ならきっとどうにかしてくれるはず。

 空港に着くと、足早に到着ロビーへ向かい冬馬さんを待つ。

 しばらくして彼の姿を視界に捉えたときには、不安は一気に吹き飛んだ。会談はこれからだというのに、もう大丈夫だと胸をなでおろした。

 でも、今は仕事中だ。冬馬さんに甘えてばかりはいられないと思い直す。
 背筋をすっと伸ばし、グランドコスメの社員として冬馬さんを迎える。

 電話で彼に気遣わせてしまうほど、数時間前の私はあまりにも情けない状態だったのだろう。さらに失態を繰り返さないためにも、いつも以上にちゃんとしていたい。
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