結婚してもおひとり様を貫きますから~俺様御曹司は孤独な契約妻に愛されたい~
「女性がお化粧品に期待するのは、もちろん自分を綺麗に見せてくれること。私もそうですが、気に入らないところをメイクでなんとか隠す努力をして」

 隣から冬馬さんの視線を感じるが、意識しないようにして続ける。

「くすみを隠したい。顔の印象をもっと柔らかなものにしたい。そう思うとどんどんアイテムが増えていって。なにがいいのかを追求すること自体は楽しいんですが、気づけば自分の隠したいところばかりに目が向いてしまっているんです」

 最初は私を試すように見ていた常田社長だったが、うなずきながら興味深そうな顔で耳を傾けてくれている。

 手にしていたコスメのケースをさらりとなでる。今回は〝海〟がテーマになっており、ケースは貝殻をモチーフにしている。ブルー系を中心にした、パールがかった色遣いが好評だ。

「こういう素敵なケースに出会うと、つい落ち込みそうになった気分が浮上するんです。綺麗なものとか、見ているだけで楽しいじゃないですか。この商品には、そういう目に見えない価値があるのだと私は思っています」

 大それた発言になってしまったかもしれないけれど、グランドコスメのこだわりを知ってもらいたい。その一心で、つい熱弁してしまった。

「たしかに、妻もよくケースを眺めているな」

 納得したとうなずいてもらえてほっとする。

 それから、話は今回コラボをしたいと考えている商品の話題に移っていく。

「おもに中高生をターゲットとした商品ですが、アクセサリー感覚で見せるコスメをと企画しているんです」

 冬馬さんの話に合わせて、あらかじめ用意しておいた写真を資料として提示する。女子高生が、通学バッグにたくさんのぬいぐるみをつけているものだ。

 持ち運びしやすいコンパクトサイズのコスメをキーホルダー状にし、キャラクターとコラボすることでバッグにつけてしまおうという発想でこの企画が動いている。

「商品を手に取ってもらうきっかけに、御社の人気キャラクターの力をお借りしたい」

 冬馬さんの訴えに、常田社長は満足そうにうなずいた。
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