結婚してもおひとり様を貫きますから~俺様御曹司は孤独な契約妻に愛されたい~
「も、申し訳ありませんでした」

 朝になって目を覚まし、状況を把握するや否や、冬馬さんに深々と頭を下げる。

 仕事だったというのに、昨夜は完全に酔っていた。さらには冬馬さんに介抱されるという、ありえない失態を晒す始末。
 いっそのこと忘れてしまえていたらよかったのに、酔っていた間の出来事を覚えている自分の体質が恨めしい。昨夜のことも、ほとんど思い出せてしまう。

 酔いの回った私を、冬馬さんは抱きかかえるようにしてこの部屋まで連れてきてくれた。本来なら帰宅する予定だったのに、それも無理だという状態になった時点で完全にアウト。

 それからベッドに寝かされ……間違いであってほしいと願うところだけれど、靴は彼が脱がせてくれたはず。
 泣きの入った私の頭を、優しくなでてなだめてくれた感覚もしっかり記憶にある。その上、私はその手をがっしりと掴んでいた。そこから覚えていないということは、寝入ったのだろう。

 目が覚めたタイミングで、シャワーを浴び終えて部屋に戻ってきた冬馬さんを見たときは悲鳴をあげそうになった。
 まだ水のしたたる髪を無造作に拭いているだけだというのに、色気が半端ない。胸が高鳴り顔は熱くなり、彼を直視できなかった。

 あからさまに視線を外したのは、いかにも意識しているようで気まずい。

 同居をしているのに、お互いのプライベートな姿はあまり見せていなかった。それぞれのペースで生活していたから、じっくりと顔を合わせるのは朝食のときくらい。

 たまに聞こえる物音から、冬馬さんも帰宅しているなと感じることはある。けれど、遅くまで仕事している彼とは基本的にすれ違っていた。

 慣れない状況が、恥ずかしくてたまらない。

 不意に、昨夜は自分の記憶にある以上の〝なにか〟があったのかと不安になってきた。必死に考えるが、まったくわからない。

 そうだ。服はどうかとやっと思い至り、すぐさま自身を確認する。
 昨日着ていたドレスはしわになってしまったが、そのまま着ている。変に乱れた様子はないと、大きく安堵した。
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