結婚してもおひとり様を貫きますから~俺様御曹司は孤独な契約妻に愛されたい~
 次にやってきたカフェは、ずいぶん可愛らしい外装をしている。店舗周りの花壇には、ビタミンカラーのマリーゴールドが咲き誇り、ところどころに動物のかわいらしいオブジェが飾られている。

 木の温もりを感じられる店内は、落ち着いた雰囲気で過ごしやすそうだ。都会の喧騒を忘れさせてくれる穏やかな空気感にほっとする。

 席に案内されて、早速ミルフィーユをオーダーする。いつもはコーヒーだけの冬馬さんが、珍しくチーズケーキを加えたことに驚きを隠せない。

「たまにはいいだろ」

 もちろん、自由にしてくれてかまわない。意外すぎてつい盗み見してしまうだけで、お互いには干渉し合わない約束だ。

 しばらくして、ミルフィーユが運ばれてくる。
 形はオーソドックスな長方形なのだが、売りは季節によって使われるフルーツが変わるところ。夏の今は、マンゴーを主役に複数種類のベリーがトッピングされている。見た目も可愛らしくて、それだけで癒される。

 早速スマホを取り出して、写真に収めておく。その様子を、冬馬さんがじっと見ていた。

「なんで写真を撮るんだ?」

 これまでの外出でも何度か同じことをしてきたが、理由を尋ねられたのは初めてだ。

「えっと、後でブログに載せようかと」

「へえ」

 だめだった?と、思わずうろたえそうになる。が、冬馬さんは、それ以上なにも言わない。

 とりあえず撮影を終えて、早速フォークを手にする。
 さすがにケーキを食べながら仕事をするつもりはないらしく、冬馬さんはまだタブレットを開いていない。

「美味しい」

 ひと口頬張り、思わず感嘆の声が漏れる。
 サクッとしたパイ生地は、私好みで最高に美味しい。間に挟まれている濃厚なカスタードクリームも、甘酸っぱいフルーツにぴったり。幸せ過ぎて、表情が緩んでしまう。

 しばらくケーキを堪能していたところで、視線を感じて顔を上げる。すると、正面に座る冬馬さんとばっちり目が合った。
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