結婚してもおひとり様を貫きますから~俺様御曹司は孤独な契約妻に愛されたい~
 ネットの世界で感想を交流し合うことも楽しいけれど、現実世界でリアルタイムに話せるおもしろさには敵わない。

 ずっとひとりで暮らしていくと、あれほど固く決めていたのに。この生活も悪くないと感じてしまう。

 いつかは手放すものなのに……。

 込み上げてきた切なさを、必死に打ち消す。なんとか笑みを浮かべて、彼の方を向いた。

「香水作り、すごく楽しかったです」

「ああ、そうだな」

 冬馬さんが共感してくれることが、たまらなくうれしい。

「陶芸体験ができるカフェとか、ガラスの小物づくりができる工房にも行ってみたくて」

 やってみたいことが、まだまだたくさんある。ふうでいられる間に一緒に行けたら、ますます楽しめそうな気がする。

「おもしろそうだ。瑞希といると、本当に飽きないな」

 よかったと、笑みを浮かべる。私との外出は、彼にとって迷惑ではなかったようだ。

 でも、勘違いはしない。これは純粋なデートではなくて、私たちが仲のいい夫婦だと周囲に知らしめるための手段のひとつにすぎない。

「結婚したのが、瑞希でよかった」

 自分の置かれた位置を確認して気持ちを静めたというのに、彼のたったひと言で心がぐらぐらと揺らぐ。

「誰かとこんなふうに余暇を過ごすなど、無駄だと思っていた」

 勘違いさせるようなことは言わないでほしい。

 うれしいはずの彼の言葉に、どんどん追い詰められていくようだ。笑顔を保っているのも苦しくなる。
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