結婚してもおひとり様を貫きますから~俺様御曹司は孤独な契約妻に愛されたい~
選んだのが君でよかった SIDE 冬馬
結婚に憧れなんて抱けないと、辛そうな顔をした瑞希に胸がしめつけられる。彼女の中には、俺に打ち明けた以上のものが燻っているのだろう。
瑞希との結婚は、必要に迫られて応じたものだ。
当時のグランドコスメ社内には、俺に関する悪評がささやかれるようになっていた。忌々しいことに、自称俺の婚約者だと語っていた笹島奈央が、当てつけのように広めたものだ。
『冬馬、すまない。どうも笹島社長の娘さんは、なんでもかんでも自分に都合のいいように捉える質のようでな』
瑞希と結婚を決めるより四カ月ほど前のこと。俺を訪ねてきた父が、申し訳なさそうな顔をして切りだした。
父は人のよさそうな人物に見えるが、それは見せかけのもの。家族としてはいたって普通の父親だが、進藤ホールディングスの会長として見せる顔は別だ。ときには厳しい判断を下せるし、利用できるものはなんでも使う。ただし一方的に奪うだけでなく、相手のことを慮る情も持ち合わせている。そのため、父を慕う部下は多い。
そんな父にとっても、常識的とは言い難い笹島奈央は手に余るものがあったらしい。
『笹島社長との食事会に、彼女も急遽ついてきたんだよ』
笹島奈央はタレント活動をしていたはず。父に取り入って、関連会社の仕事を得ようとしていたのかもしれない。
『うちと笹島さんのネクストアーツプロダクションとは、切っても切れない関係にあるだろ?』
『ええ』
国内大手の芸能事務所だけあって、人材は豊富だ。ほかの事務所への影響力も大きい。
グランドコスメは、あの会社の所属タレントの起用が続いている。つまり、無下にできない相手ということだ。
『お嬢さんは積極的で、社長夫人に似た綺麗な子なんだ』
商品のCMキャラクターを決める際、何度か笹島奈央も候補に挙げられてきた。こちらが要望したのではなく、あくまで事務所側からの推薦だ。商品のイメージとは合わず、一度も採用していなかったはず。
瑞希との結婚は、必要に迫られて応じたものだ。
当時のグランドコスメ社内には、俺に関する悪評がささやかれるようになっていた。忌々しいことに、自称俺の婚約者だと語っていた笹島奈央が、当てつけのように広めたものだ。
『冬馬、すまない。どうも笹島社長の娘さんは、なんでもかんでも自分に都合のいいように捉える質のようでな』
瑞希と結婚を決めるより四カ月ほど前のこと。俺を訪ねてきた父が、申し訳なさそうな顔をして切りだした。
父は人のよさそうな人物に見えるが、それは見せかけのもの。家族としてはいたって普通の父親だが、進藤ホールディングスの会長として見せる顔は別だ。ときには厳しい判断を下せるし、利用できるものはなんでも使う。ただし一方的に奪うだけでなく、相手のことを慮る情も持ち合わせている。そのため、父を慕う部下は多い。
そんな父にとっても、常識的とは言い難い笹島奈央は手に余るものがあったらしい。
『笹島社長との食事会に、彼女も急遽ついてきたんだよ』
笹島奈央はタレント活動をしていたはず。父に取り入って、関連会社の仕事を得ようとしていたのかもしれない。
『うちと笹島さんのネクストアーツプロダクションとは、切っても切れない関係にあるだろ?』
『ええ』
国内大手の芸能事務所だけあって、人材は豊富だ。ほかの事務所への影響力も大きい。
グランドコスメは、あの会社の所属タレントの起用が続いている。つまり、無下にできない相手ということだ。
『お嬢さんは積極的で、社長夫人に似た綺麗な子なんだ』
商品のCMキャラクターを決める際、何度か笹島奈央も候補に挙げられてきた。こちらが要望したのではなく、あくまで事務所側からの推薦だ。商品のイメージとは合わず、一度も採用していなかったはず。